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知事提案説明

平成23年第308回定例会 知事提案説明

 
 第308回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝をお喜びし、日頃のご精励に敬意を表します。提出 議案の説明に先立ち、今後の県政への基本姿勢を述べさせてください。

【新たな10年へ】
(21世紀への期待と課題)
 21世紀の幕開けから10年が経ちました。10年前、誰もが「争いと競争の20世紀」から、「平和と協調の21世紀」へと、新たな世紀への転換を願ったのではないでしょうか。この10年の歩みを見るとき、世界は、テロとの戦いや民族紛争が相次ぐなど、未だ平和が実現したとは言えません。
 また、政治や経済などの秩序が、アメリカ一極集中から多元化、多極化へと動くからこそ期待された国家間の協調も、期待どおりに進んでいるとは思えません。協調の欠如は、国家間のみならず個人の意識の中にも見られます。近年、市場原理のもとで強い者が勝てば良いという発想が広がり、地球資源の有限性の中で、いわゆる囲い込みが行われています。国内でも、自分さえ良ければ良いとの行動が利益優先と格差を急速に拡大させています。
 今、競争原理の徹底ではなく、競争を補うセーフティネットを基本とした協調、協力の原理で成り立つ社会が求められているのではないでしょうか。人と人とのつながりで築く助け合いの安全装置が必要だと考えます。特に、私たちにとっては、阪神・淡路大震災の苦難をともに乗り越えた共助の精神がその土台となるはずです。
(新たな10年への道筋)
 時代は大きな転換期にあります。国内外の動きは急ですが、特にわが国は、高度成長を支えた諸制度やしくみ、そして考え方が、今の成熟社会、低成長の時代に合わなくなっています。このため、今までの諸制度やしくみ、考え方までも、今の、そしてこれからの時代にふさわしいものに変えていかねばなりません。社会が均質、一様に成長することを前提とした様々な社会構造が再構築を迫られているのです。
 成熟社会を迎えた今、生活の豊かさ、人の幸せとは何かということを改めて考える時に来ているのではないでしょうか。国民総生産や所得などで計られる経済的な豊かさだけを追い求めるのではなく、生活の質を高めること、生きがいを持つこと、様々な人や地域とのつながりを持つことなど、所得では計れない生活の豊かさに広げていく発想が必要でしょう。
 世界と地域が直接つながる時代にあって、「世界の中の兵庫」の視点を欠くことはできません。日本の近代化を先導してきた開明性、先進性や、豊富な地域資源などの兵庫の特性を生かし、交流と連携を進め、相互依存を深めるためにも、自立をめざしていくことが求められます。
一方、山間部の小規模集落では、若者の減少に伴って将来不安が広がり、都市部でも高齢者の孤立化が進んでいます。児童虐待や自殺などの課題もあります。これらの課題にきちんと取り組んでいくことが必要です。
 なぜ私たちは、地方分権を進めようとするのでしょう。高度成長する社会であれば、人、物、金の資源を1つの目的のために集中し、効率的に生産消費する画一、一律、標準的発想と行動が、さらなる成長と豊かさをもたらしたことを知っています。
 しかし、もはや高度成長時代は終わりを告げ、成熟社会を迎えました。また、既に明らかにした今後の10年の課題は、いずれも画一、一律、標準では対応できません。この20年間は、失われた20年と言われることがこれを示しています。それぞれの地域の実情に応じて、これにふさわしい対応を、それぞれの地域が主体的に行うこと、多様性と主体性の発揮こそが求められています。同時に世界も、多元化、多様化の中で、各国が各国としての存在と責任を示すことが求められています。
 中央集権から地方分権へ、地域が自ら考え、自ら決定し、行動し、これに責任を持つ、自己決定・自己責任のしくみこそ、地域主権と言えるのではないでしょうか。
 これからの10年は、まさに正念場と言えましょう。関西広域連合も出発しました。兵庫は兵庫らしく、これからの兵庫の姿を見通し、新たな10年への道筋をつけ、分権時代の先達としての役割を果たさねばなりません。

【自立新時代に向かって】
(自立と連携、広域と狭域)
 成熟社会にふさわしい豊かで質の高い生活の実現に向け、しっかりとした歩みを進めるためには、関西、兵庫、地域のそれぞれの段階で自立をめざす必要があります。自立するためには主体性を持つとともに、他と連携していくことも欠かせません。
 また、私たちが直面する課題には、諸外国との経済交流、環境問題など世界的な広がりを持つものや国と地方の関係など広域で考えるものがある一方、地域コミュニティの再生、子育てなど小さな単位で考えねばならないものがあります。
 こうした課題に対応していくため、平成23年度の県政は、「自立と連携」を基本姿勢に、「広域と狭域」の視点をもって推進します。

(経済の自立)
 第一は、経済の自立です。世界とつながる新時代の経済社会をつくります。
 BRICsなど新興国の成長が続く一方で、国内では景気回復の動きが見られるものの、デフレ経済下での円高基調が続き、先行きへの閉塞感は払拭されません。世界の活力を兵庫の活力に結びつけることが必要です。
 SPring-8、X線自由電子レーザー、京速コンピュータ「京」などの世界レベルの科学技術基盤とものづくりの強みを生かし、先端産業や健康、医療、環境・エネルギーなど成長分野の産業を育成します。
 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加が課題とされるだけに、国内外に評価される力強い「農」を確立せねばなりません。大消費地を擁する兵庫の農林水産業は、様々な展開の可能性を持っています。ブランド化、低コスト化、6次産業化、輸出促進など多様な視点で考え、取組を進めます。
 雇用は、このような経済の自立のうえに確保されるものではないでしょうか。
(安全安心で質の高い生活)
 第二に、安全安心を支える基盤を充実し、質の高い生活の実現をめざします。
 頻発する集中豪雨、東南海・南海地震や高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫への備えなど、自然災害や疫病などへの危機管理を徹底します。
 地球温暖化など環境・エネルギー問題は、日々の生活と密接に関係しています。広い視野に立って、一人ひとりの身近な取組を促進します。
 また、地域医療の確保、健康づくり、障害者福祉、高齢者対策や子育て環境の充実などにより生活の安心基盤を確保しつつ、商店街をはじめ街の賑わいや交流の場づくりなど「つながり」の再生により、安心を支える地域社会をつくります。
(地域の自立)
 第三に、地域が自立した新時代をめざし、広域課題への対応と地域活力の増進に取り組みます。
 関西の復権と創造を旗印に掲げ、関西広域連合が発足しました。防災をはじめとする関西全体の広域事務の責任主体となるとともに、国に出先機関の廃止を迫る権限移譲の受け皿として、着実に成果を示し、一丸となって分権改革の突破口を開きます。
 兵庫には、都市から農山漁村まで多様な地域があります。それぞれの課題に的確に対応するため、活力を支える基盤を整え、人材や自然、文化、歴史などの資源を生かした地域独自の取組を支援します。また、過疎化と高齢化が進む地域の再生方策を検討します。
(明日の兵庫の枠組み)
 明日の兵庫に向かって、地域の夢を描き、その実現へのシナリオを準備するため、21世紀兵庫長期ビジョンの見直しを進めます。経済的な豊かさだけでは地域は元気になりません。心の豊かさ、人と人、地域と地域の絆こそが地域を元気にします。県民の皆様の参画と協働のもと、新しい兵庫の未来像、しっかりとした将来像を明らかにしたいと考えています。
 国勢調査で、初めて人口がほんの少し減りました。しかし、人口減少社会であっても生活の質の高い豊かな地域をつくっていきます。
 将来像の実現をめざし、県民の新たな要請に応えていくには、持続可能な行財政基盤の確立が不可欠です。このため、新行革プランの策定から3年目を迎え、総点検を行いました。社会経済情勢の変化や県民ニーズを的確に捉え、県と市町・民間との役割分担、費用対効果、受益と負担の適正化等の観点から見直しを行い、選択と集中の徹底を基本に、第2次行革プランを策定し、新しい改革のスタートを切ります。

 平成23年度は、経済の自立、安全安心で質の高い生活、地域の自立の3つを基軸として、明日の兵庫へとつながる施策を展開します。

これより、新年度の重点施策について、5つの柱に沿って説明します。

【新時代の経済社会づくり】
 重点施策の第一は、新時代の経済社会づくりです。
 その一は、経済雇用の安定と産業の成長促進です。
(緊急経済雇用対策)
 本県の経済は、全体として緩やかに回復しているものの、持ち直しの動きは減速し、依然として厳しい状況にあります。有効求人倍率は低く、今春卒業予定者の就職内定も極めて厳しい状況です。施策を総動員して切れ目のない対策を進め、経済の早期回復と雇用確保に全力を尽くします。
 中小企業融資制度の融資目標額を4,500億円確保し、資金繰り支援として、経営円滑化貸付、借換貸付、長期資金の限度額引き上げや融資期間の拡充を行うとともに、企業の新たな挑戦を応援するため、設備投資促進貸付で1.2%の最優遇金利を適用することとしました。
 また、県内の中堅・中小企業を対象に、地域金融機関と連携して融資目標額100億円、限度額3億円の低利融資を行い、地域にふさわしい産業の設備投資を促進します。
緊急雇用対策では、県事業として約5,400人の雇用を創出します。就職先がない卒業予定者を県の非常勤嘱託員として4月から100名程度採用し、就職につなげます。
 公共事業では、国の事業量が減る中、昨年の12月補正と合わせた16カ月予算として前年度並みの2,083億円を確保し、需要喚起を図ります。特に、21年台風第9号などの災害関連事業の促進、「山地防災・土砂災害対策緊急5箇年計画」の前倒し整備、地震対策など緊急事業の実施のため単独で38億円上積みしました。
(成長産業の創出)
 緊急対策と同時に、中長期的な視点で産業の持続的成長を促す必要があります。アジアなど新興国が台頭し、国内では大量生産、大量消費の経済活動の縮小が予測されます。今こそ、科学技術基盤に支えられ、技術力を生かした個性的で競争力のある企業群を創らねばなりません。次に、健康、医療、福祉、環境・エネルギーなど成長が期待される分野での産業を拡大する必要があります。そして、交流人口の増加を通じて地域の活性化を進める観光、学び、食など地域資源の活用です。新たに策定する「経済・雇用プログラム」により、兵庫の産業クラスターをめざし、安定した雇用創出につなげます。
 神戸医療産業都市構想が進むポートアイランド地区では、24年度に供用予定の京速コンピュータ「京」の利用支援施設として、4月に高度計算科学研究支援センターを設置し、シミュレーション技術の産業界への普及を図ります。このセンターと一体的に県立大学大学院シミュレーション学研究科を開設し、ひょうご神戸サイエンスクラスターの形成に向けた環境整備を進めます。
 SPring-8や23年度中に供用されるX線自由電子レーザーの産業利用を支援し、ナノ分野などで新産業、新技術の創出をめざします。次世代を担う研究開発型企業を支援するため、10億円規模の新たなファンドを組成します。
(企業立地の促進)
 産業集積条例に基づく優遇制度を活用しながら、造成が完了するひょうご情報公園都市E工区をはじめ県内各地の適地を積極的に売り込み、企業立地を促進します。
 企業の拠点再編が進み、長年にわたり地域と共存してきた工場の移転が続いています。移転企業に対して地域のまちづくりに適した跡地活用の検討を促すしくみをつくります。

その二は、特色ある地域産業の創出です。
(中小企業、地場産業の競争力強化)
 県内には、世界に通じる技術やサービスを有する中小企業が数多く立地しています。アジアなど海外市場での事業展開を支援するため、新たな貸付制度や現地支援窓口を設け、東南アジアや中東などへのビジネスミッションも派遣します。また、地場産業のブランド力強化や新製品・新技術の開発、販路開拓を総合的に支援します。
(産業人材力の強化)
 熟練技術者の退職や若者のものづくり離れが進み、産業を支える人材力の強化が急務となっています。このため、「ものづくり大学校」の教育研修施設を4月に開設し、次代を担う人材育成、技能レベルに応じた在職者訓練、匠の後継者育成などに取り組みます。これにあわせて、姫路高等技術専門学院を移転して、ものづくり大学校姫路職業能力開発校として再編します。青少年のものづくり体験施設は、24年度の供用をめざして整備を進めます。
 新規学卒者や離転職者向け職業訓練の充実、兵庫しごとカレッジ推進会議による新たな能力開発プログラムの検討などにも取り組みます。
(仕事と生活のバランス)
 仕事と生活のバランスの取組を推進するため、ひょうご仕事と生活センターにおいて、ワンストップ相談や研修などを行います。再雇用1人当たり50万円を支給している育児・介護等離職者再雇用助成事業については、支給対象を常時雇用1,000人以下の事業主に緩和して実施します。

その三は、農林水産業の振興です。
(競争に強い農林水産業の確立)
 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加が決まれば、農林水産業への影響は少なくありません。経営の規模拡大や効率化、農林水産物の品質向上とブランド力強化など、今からできる取組を着実に進め、国内外の競争に強いひょうごの農林水産業を確立します。この基本は、農業の担い手、特に認定農業者と集落営農組織の確立にあります。
(農業の担い手育成)
 次世代の農業の担い手を育成するため、就農相談や経営指導を行うひょうご就農支援センターの体制を強化し、就農希望者の掘り起こしを行います。
 認定農業者の育成強化とあわせて、近隣集落共同による組織化や営農リーダーの育成などにより、集落営農化を加速します。
 兵庫楽農生活センターでの農業体験の実施や市民農園の開設支援など、生活の中で食と農に親しむ「楽農生活」の実践を促進します。
(農業生産力の強化)
 農業生産力を高めるため、新年度から本格実施される国の戸別所得補償制度への加入を促進し、麦、大豆の作付け拡大に取り組みます。野菜・果樹産地の経営規模拡大への支援、市場との連携による新たな産地づくりなどにより、大消費地近郊の強みを生かした付加価値の高い農業を実現します。
(ブランド力向上作戦の展開) 
 「ひょうご安心ブランド」の確立をめざし、相談窓口の設置やブランドづくり人材の育成、生産技術の開発、モデル産地の整備、6次産業化など、生産・流通・販売を一体的に捉えた農産物のブランド戦略を推進します。農産加工品づくりや直売所の運営も支援します。
 但馬牛の20,000頭増頭対策の推進や、本県が開発した霜降り豚肉「ひょうご雪姫ポーク」の生産と消費の拡大に努めます。
(県産木材の利用促進) 
 林業では、兵庫木材センターの稼働を機に、製材工場への安定的な原木供給体制づくりをめざし、「ひょうご林内路網1,000km整備プラン」を進めます。また、県産木材を利用した木造住宅への融資、モデルハウスの活用や県施設での展示などにより、県産木材の利用を促進します。
(水産物の安定供給) 
 日本海のズワイガニ増殖場や瀬戸内海の「第2の鹿ノ瀬構想」など漁場整備を進め、豊かな海を再生し、安全な水産物を供給します。兵庫ノリの品質向上やアサリなど二枚貝の育成技術の開発にも取り組みます。

【安全安心の基盤づくり】
重点施策の第二は、安全安心の基盤づくりです。
その一は、危機管理の徹底です。
(危機事案対策の推進) 
 高病原性鳥インフルエンザや口蹄疫などの家畜伝染病が散発的に発生しています。本県でも死亡野鳥からインフルエンザウイルスが検出されましたが、既に警戒本部を設置し、養鶏場への立入検査、一斉消毒など必要な対策を実施しています。今後とも24時間の警戒体制を続けます。
 新型インフルエンザの大流行に備え、薬剤備蓄や医療従事者研修を行います。
(東南海・南海地震対策の推進)
 近い将来に発生が予想される東南海・南海地震に備えねばなりません。
 耐震改修促進計画で定めた27年の耐震化率97%達成をめざし、民間住宅の耐震改修や、災害時の拠点となる学校、病院などの耐震化を促進します。あわせて、家具の固定など室内安全対策の普及を図ります。
(集中豪雨など大規模災害への備え)
 21年台風第9号災害などの教訓を踏まえ、山の管理の徹底と谷筋対策を進めます。
 緊急5箇年計画に基づき、治山ダム、砂防えん堤の整備を計画的に推進し、特に、福祉施設など災害時要援護者施設の保全対策を急ぎます。緊急防災林整備など県民緑税を活用した災害に強い森づくりを進めます。「森林管理100%作戦」により、手入れ不足で低下した森の公益的機能を回復します。
 河川では、上下流のバランスに配慮した中上流部の改修や、流域貯留を含めた総合的な治水対策を進めます。武庫川水系では、河川整備計画の国の同意を得て着実に対策を行います。また、総合治水の枠組みなどを定める条例を検討します。
 老朽化した農業用ため池については、緊急改修を行います。
(防災・減災対策の推進) 
 広域防災センターで実施している防災リーダー講座を新たに西播磨、但馬、淡路地域で実施し、地域での実践的な防災訓練を充実します。
 災害時に市町や県民が的確に判断し、行動できるよう、河川監視カメラの増設と氾濫危険度情報などの市町への配信を行います。フェニックス防災システムについては、最新の知見に基づく地震被害想定を反映した改修を行います。
 HAT神戸に集積している国際防災機関と大学などの研究連携拠点と、県立大学の全学部生が防災教育を履修できる防災ユニットを、人と防災未来センターに設置します。

 その二は、医療体制の確保と健康ひょうごの推進です。
(医療体制の確保)
 産科、小児科など特定の診療科やへき地での医師不足が依然として深刻です。
医師の量的確保と偏在解消に向け、地域医療を志す医学生への修学資金制度を拡充します。県職員として採用した後期研修修了医師を公立病院に派遣します。看護職員など医療関係者の技能向上と人材確保にも取り組みます。
 県立こども病院による小児救急医療電話相談#8000に加え、地域相談窓口を東播磨と但馬地域に拡充して全県域で実施します。ハイリスク妊婦の広域搬送調整など周産期・産科救急医療体制を強化します。兵庫、京都、鳥取共同でスタートしたドクターヘリを関西広域連合に移管し、運航します。
 県立尼崎病院と塚口病院を市立尼崎産業高校跡地に統合再編し、救急、小児、周産期など高度専門医療への対応を強化します。淡路病院の建替と光風病院の児童思春期病棟整備を進めるとともに、県立こども病院の整備計画を検討します。 
 地域医療再生・医療施設耐震化支援基金に、再生事業計画に基づき予定される国交付金80億円の積み増しを行い、3次医療圏域レベルでの地域医療再生に活用します。
(健康ひょうごの推進)
 「健康づくり推進条例」を制定し、生活習慣、歯や口腔、こころの3つの健康づくりを社会全体で推進します。
生活習慣病の予防では、特定健診・がん検診の受診率が低い年齢層への健康教育を実施します。歯や口腔の健康づくりでは、事業所での歯科健診と事後指導の実施、8020運動推進員の養成、かかりつけ歯科医の普及などに取り組みます。こころの健康づくりでは、かかりつけ医と精神科医との連携促進や、特定健診などでのうつチェック、産後うつの早期発見・早期支援などを実施します。
 受動喫煙防止については、県民や施設管理者の理解と協力が得られるよう、引き続き検討します。

 その三は、セーフティネットのしくみの構築です。
(高齢者の生活支援)
 ひとり暮らしや身体機能の低下などにより生活支援が必要となる高齢者が増加しています。昨年8月に菅総理大臣が県営芦屋浜団地を訪問し、LSA(生活援助員)の活動を視察されました。これを受け、高齢世帯を支えるため、24時間地域巡回・随時訪問サービスの導入、高齢者向け住宅の整備促進、認知症への支援を柱とする新型サービスが進められます。
 県では、被災高齢者対策として、既に復興住宅へのLSAの常駐、高齢者自立支援ひろばなどを先導的に実施してきましたが、公営住宅へのLSA24時間配置や地域住民による見守り体制の構築、障害者や高齢者が住み慣れた地域で適切なリハビリテーションを受けられるしくみづくりなど、さらに地域が支え合う体制づくりを進めます。
 また、認知症対策として、認知症サポート医の研修や、市民後見人の養成と普及に取り組みます。
(障害者の自立支援)
 障害者が障害の程度に応じて多様な住まい方ができるよう、共同生活により援助を受けながら自立した生活をめざすグループホームや重症心身障害児施設の改修を促進します。障害者のしごとを確保するため、新体系サービスへの移行に向けた小規模作業所の整備や、空き店舗を活用した授産施設共同販売所の設置を支援します。障害者就業・生活支援センターを阪神南と但馬地域に拡充して全県域に設置します。
 発達障害児の早期発見・早期支援を図るため、乳幼児健診での評価手法を改善するとともに、5歳児発達相談を実施します。県立清水が丘学園の改修にあわせて24年度に開設する「こども発達支援センター」の先行事業として、相談機関などのデータベース化を行います。
(児童虐待防止対策などの推進)
 児童虐待に苦しむ親子を助けねばなりません。こども家庭センターに心理担当職員を配置し、増加する虐待相談に対応します。24時間365日体制で対応する児童家庭支援センターを阪神北地域に増設し、県下6カ所に設置します。老朽化している西宮、姫路、豊岡のこども家庭センターの改築を進めます。
児童委員による家庭復帰後の子どもの見守り活動や子育て応援ネットによるSOSキャッチ活動を強化します。虐待をした親などへの指導を通じて家族の再生を図ります。
 DV(配偶者等暴力)の被害者支援や啓発にも取り組みます。
(自殺防止対策の推進)
 県内の自殺者数は、毎年1,300人を超えています。思いつめ、追い込まれる前に社会全体で助けることが必要です。
 このため、県内自殺者を28年までに1,000人以下に減らすことを目標に、「いのちと心のサポートダイヤル」と「いのちの電話」による24時間相談、精神保健福祉センター「こころの健康電話相談」の全国統一ダイヤルへの加入など相談体制を充実します。また、相手の心に寄り添い、安心感を与え、ほほえみや笑いを引き出すことにより自殺予防に寄与できる人材を養成します。働き盛り世代への対策として、兵庫県健康財団とこころのケアセンターによるメンタルケア対策を強化するとともに、職場復帰トレーニングの実施などに取り組みます。

 その四は、生活の安全安心の確保です。
(安全安心な消費生活の推進)
 消費生活センターが全市町に設置されたことに伴い、県として広域的、専門的な役割を担う観点から、生活科学センターを県民局本局内の消費生活センターに再編し、生活物資の安全と食の安全を調査する県立生活科学総合センターとの連携により、消費生活の安全安心体制を構築します。
 幅広い世代での消費者力向上をめざし、大学生、高校生による消費者問題への取組を促進します。
食の安全安心を確保するため、県版HACCP認定制度やトレーサビリティの導入を促進し、食品に関する事業者の衛生管理力を高めます。
(地域の安全安心の確保)
 安全安心のまちづくりを進めるため、まちづくり防犯グループへの防犯用品の配付や防犯カメラの設置を進めます。
 交通事故が多発している生活道路への信号機や道路標識の設置、高齢者や子どもへの啓発など、「ストップ・ザ・交通事故」の取組を推進します。
 県の旧佐用庁舎を耐震改修し、佐用警察署を移転します。神戸水上警察署については、デザイン都市・神戸の推進に協力し、24年度のポートアイランドへの改築移転を進めます。

【質の高い生活づくり】
 重点施策の第三は、質の高い生活づくりです。
その一は、安心して子どもを産み、育てることができる社会の構築です。
(少子対策の推進)
 若い親子を孤立させることなく、たくさんの人間関係の中で安心して子育てができる社会をめざして、「新ひょうご子ども未来プラン」を推進します。
 出会いサポートセンターによる「縁結びプロジェクト」を展開し、交流会とお見合い紹介事業、こうのとり大使の活動など「良きおせっかい」を結集して、若者の出会いと結婚を支援します。
 どんな時にも安心して子育てができるよう、こども医療費助成制度を拡充し、小学4年生から6年生までの通院医療費を助成します。
 待機児童の増加や保育ニーズの多様化に対応するため、保育所の新設や定員増、認定こども園の倍増に取り組みます。病児・病後児保育や認定こども園での障害児保育、事業所内保育所の整備を支援します。また、放課後子ども教室や児童クラブを活用して、放課後の子どもの居場所づくりを進めます。
 子育て中の親子が気軽に集える「まちの子育てひろば」や県民の健康と医療の相談に応える「まちの保健室」などにより、子育ての悩み解消を支援します。家庭、地域などが協力して子育てに参加できるよう、県内150カ所に子育て支援の情報拠点を設置して相談を行います。大学生による子育てボランティア活動を支援します。
(次世代育成対策の推進)
 地域の大人が見守る中で子どもが自由に遊ぶことができる「子どもの冒険ひろば」や、若者が気軽に立ち寄れる「若者ゆうゆう広場」づくりを進めます。
 また、青少年の社会貢献活動の認定や、国際性を備えた青年リーダーを養成する「青年洋上大学海外養成塾」の実施を通じて、社会意識をしっかりと持つ若者を育てます。 
インターネットの有害情報対策も推進します。
(家庭と地域の再構築)
 家族の絆を深め、地域で家庭を支える取組を進めるため、父親の子育てや地域活動への参加促進、「家族の日」の普及など、家庭応援県民運動を展開します。

 その二は、ひょうご教育の推進です。
(兵庫型教科担任制の推進)
 小学4年生までの35人学級編制を引き続き実施します。5・6年生では教科担任制と少人数学習を組み合わせた「兵庫型教科担任制」の24年度全県実施をめざし、国の定数改善も活用して、実施校を500校に拡大します。
(豊かな心を育む教育の推進)
 子どもたちの豊かな心と生きる力を育むため、小学3年生の環境体験事業、5年生の自然学校、中学1年生のわくわくオーケストラ教室、2年生のトライやる・ウィーク、高校生の地域貢献、就業体験事業を引き続き実施します。
 兵庫の先人の多様な生き方などに触れる兵庫版道徳教育教材を小・中学生に配付し、道徳教育を推進します。高校生の社会人としての基礎を養う教育カリキュラムを研究します。
(魅力あるひょうごの高校づくり)
 県立高校では、専門学科や中高一貫校の設置など学校の個性化、多様化を進め、魅力ある高校づくりを推進し、生徒のやる気や個性を引き出します。
 中高連携の推進や理数教育、国際教育による学力向上、専門学科でのスペシャリスト育成など学校ごとの特色を高めます。新年度は「数学・理科甲子園」全国大会を誘致します。
 通学区域については、検討委員会の最終報告に基づき、生徒の多様な選択肢を確保する観点から、地域の実情も踏まえながら検討を進めます。
(特別支援教育の充実)
 LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの児童生徒が安定した学校生活を送れるよう、学習障害相談や学校への専門家チームの派遣、教育事務所へのアドバイザー配置による市町の特別支援教育への支援に取り組みます。
 姫路特別支援学校分教室を姫路別所高校内に設置するなど、特別支援学校と高等学校との連携を推進します。阪神地域の新設高等特別支援学校と上野ケ原特別支援学校の新校舎については、24年度供用に向けて整備を進めます。
(私立学校教育の充実)
 専修学校などを含む私立高校には、建学の精神に基づく個性豊かな教育基盤を支
える私学助成を行います。低所得世帯への対策として、国の就学支援金の支給に加
え、県単独助成により授業料を軽減します。

 その三は、快適で豊かな生活環境の実現です。
(ユニバーサル社会づくりの推進)
 年齢、性別、障害、文化などの違いに関わりなく、誰もが安心して質の高い生活ができるユニバーサル社会をめざします。
 障害のあることが外見からは分かりにくい人も安心して出かけられるよう、全国に先駆けて「譲り合い感謝マーク」を制定し、普及を図ります。300人以上の参加が見込まれる県主催行事には、手話通訳と要約筆記を配置します。あわせて、声かけ運動推進員の養成を進めます。
 外国人児童生徒の学習活動と、家庭、学校、地域でのコミュニケーションや相互理解が円滑に行えるよう、日本語教育と母語教育を推進し、多文化共生を進めます。
 福祉のまちづくり条例に基づき、公共施設や大規模店舗など多くの人が利用する施設を対象に、アドバイザーによる点検や助言の実施、バリアフリー情報の公開などを促進します。また、鉄道駅舎へのエレベーター設置やノンステップバスの導入促進など公共交通のバリアフリー化を進めます。
(美しく快適な暮らしの実現)
 住生活の安定と向上を図るため、兵庫県住生活基本計画による長期優良住宅の普及や明舞団地の再生に取り組みます。
 潮芦屋地区では、企業庁と民間が共同して先進のエコ設備を備えた住宅を分譲します。
 県民緑税を活用して、植樹や芝生化など住民団体の緑化活動を支援します。
(生活に密着した商店街の振興)
 生活に密着した商店街の再生やコンパクトなまちづくりに向け、商店街の美観形成と回遊性の向上、空き店舗などを活用した魅力ある店舗やコミュニティ施設の誘致、イベントによる賑わい創出、まちの再生などを総合的に支援します。
(生涯学習の推進)
 県民誰もが生涯を通じて学び、その成果を地域活動などに生かすことができるよう、西播磨、淡路の文化会館と但馬文教府の運営を兵庫県生きがい創造協会に移管して、地域拠点としての機能強化を図り、生涯学習や地域づくり活動、芸術文化活動への支援などを一体的に推進します。
(芸術文化の振興)
 芸術文化が県民の暮らしに息づく「芸術文化立県"ひょうご"」をめざし、多彩な事業を展開します。
 芸術文化センターでは、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ 喜歌劇「こうもり」などの自主制作公演や付属管弦楽団の定期演奏会、ベルリン・ドイツ交響楽団など質の高い公演を提供します。ワンコインコンサートや「わくわくオーケストラ教室」などの普及事業を展開します。ピッコロシアターでも、県内の中学生を対象に「ピッコロわくわくステージ」を実施します。
 県立美術館では、「カンディンスキーと青騎士展」などの特別展を開催し、原田の森ギャラリーでは、郷土作家の作品展示の場を整備します。
 兵庫陶芸美術館の「三代徳田八十吉展」、歴史博物館の「宝塚歌劇−咲きつづけて一世紀−展」、考古博物館の「木のうつわ−六千年の技−展」など魅力ある事業を展開します。芸術文化活動の裾野を広げるため、若手芸術家などの活動を支援します。
 人と自然の博物館では、恐竜・ほ乳類化石の発掘調査や成果の情報発信を行います。
(スポーツの振興)
 震災の教訓・体験や、兵庫・神戸の魅力を国内外に発信するため、2万人規模の市民マラソン大会として、11月に神戸市と共同で「第1回神戸マラソン」を開催します。7月に開催される「第19回アジア陸上競技選手権兵庫・神戸大会」とともに、温かいおもてなしで皆様を迎えます。
 ジュニア選手の発掘・育成と若手指導者の資質向上により、競技スポーツを強化します。生涯スポーツ大会の開催や地域スポーツへの支援を通じて、県民のスポーツへの関心を高めます。

 その四は、自然と調和した生活の拡大です。
(地球温暖化対策の戦略的推進)
 温暖化は地球規模の課題ですが、その解決には、地域における一人ひとりの行動が不可欠です。昨年11月末からメキシコで開催されたCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)では、先進国と新興国との対立などにより新たな枠組みの合意には至りませんでしたが、2050年までに世界全体で大幅な削減が必要であるという共通認識を得ました。一方、日本は2020年までに1990年対比25%削減という高い目標を既に提案しています。
 県でも新たな「地球温暖化防止推進計画」の策定に向け、2020年まで25%削減を基本に、排出抑制に向けた取組目標の見直しなどを検討しています。
 産業・業務部門では、CO2削減協力事業などの取組に加え、新たなモデル事業として、省エネ設備の導入や改修に取り組む中小企業者への助成制度を創設し、その成果の普及を図ります。
 民生、運輸部門では、家庭でのエコ診断の普及や低公害車の導入促進、電気自動車用充電インフラの整備、太陽光発電相談指導センターによる再生可能エネルギーの導入促進などに取り組みます。
(循環型社会の構築)
 循環型社会の構築をめざし、32年度を目標年度として廃棄物処理計画を改定し、廃棄物の減量化やごみ発電の導入を促進します。大手家電量販店と連携して使用済携帯電話の回収・リサイクルを促進します。
(生物多様性の保全・再生)
 広大な県土に息づく豊かな自然を次世代に遺すため、「生物多様性ひょうご戦略」を推進します。生態系を含むレッドデータブックについては、新たに昆虫類を作成します。
 コウノトリの本格的な野生復帰に向けて、生息域と営巣地の拡大をめざし、放鳥ガイドラインの作成、受入を表明している県内外の自治体とのネットワークづくり、放鳥と定着をめざす福井県や南但馬地域との共同研究などの取組を進めます。
(野生鳥獣などの被害防止総合対策の推進)
 大切に育てた野菜や果物が食べられてしまうなど野生鳥獣による農林業被害が深刻です。経済的な損失に加え、精神的な影響により、地域活力の低下にもつながっています。
 このため、シカの年間捕獲目標3万頭を継続し、捕獲実施隊の編制や射撃訓練への支援、大量捕獲わなや防護柵の設置などの被害防止対策を進めます。あわせて、シカ肉処理施設への支援やシカ肉活用ガイドラインの普及により、シカ肉需要の拡大を図ります。クマ、サル、イノシシの被害防止やアライグマ、ヌートリアなど外来生物の駆除にも取り組みます。
 被害農家対策として、農作物被害がある市町において、県、市町、農家が共済基金を積み立て、被害を受けた農家に再生産のための支援金を交付するしくみをつくります。
 広がりを見せるナラ枯れに対しては、被害の先端地や保安林など公益的機能の高い森林を重点に防除を行います。

【地域の魅力と元気づくり】
 重点施策の第四は、地域の魅力と元気づくりです。
 その一は、交流と連携による地域の活性化です。
(地域再生大作戦の推進)
 人口減少と高齢化が進む多自然地域では、22年度から地域再生大作戦に取り組み、廃校を利用した交流拠点づくりや田舎暮らしの普及、古民家の再生、特産品の開発など、住民主体の様々な取組が展開されています。
 この取組をさらに広げ、雇用や賑わいの創出、定住人口の増加など地域の元気創出につながるよう、既存の助成制度では対応困難な大規模な拠点施設整備など本格的なプロジェクトをハード・ソフト両面から支援します。あわせて、10年、20年先の集落のあるべき姿を住民自らが考えるきっかけづくりとして、過疎化と高齢化が著しい小規模集落での将来構想の検討を支援します。

(強みを生かした地域づくり)
 「ジャズシティ・KOBE」の魅力発信、尼崎21世紀の森づくり、北摂里山博物館構想、東播磨の「循環する水の路プロジェクト」、北はりま"元気なハートランド"交流キャンペーン、「鉱石の道」と「銀の馬車道」プロジェクト、西播磨歴史再発見プロジェクト、京都府と連携した「大丹波」の広域観光など、特色ある地域プロジェクトを推進します。
 昨年10月に世界ジオパークネットワークに加盟認定された山陰海岸ジオパークについては、去る2月12日に国際シンポジウムを開催し、ギリシャ・レスヴォス島ジオパークと姉妹提携を結びました。鳥取県、京都府などと連携し、国際的な学術会議の開催や新たなツーリズムの展開、アクセス道路の拡幅など社会基盤の整備を推進します。
 淡路島についての「あわじ環境未来島構想」では、国の総合特区制度も視野に入れ、太陽光など自然エネルギーの活用、食や農のブランド化や若手農家の育成、国生み文化を生かした観光振興などを総合的に推進します。
 地域の夢を育てるため、県内各地の地域ビジョンや地域活性化の実現に向けた取組を支援する総額15億円の「地域の夢推進事業費」を創設します。
(ツーリズムの振興)
 兵庫の魅力発信に向け、10月からの半年間、「あいたい兵庫キャンペーン2011」を展開します。11月には「B−1グランプリin姫路」と「姫路食博2011」を同時開催し、全国からご当地グルメファンを呼び込みます。24年のNHK大河ドラマ「平清盛」の放送を契機として積極的な観光PRを行います。
 中国での観光プロモーションの実施や、アジア諸国からの訪日教育旅行の誘致など、海外からの誘客を促進します。
(国際交流の推進)
 教育、文化、経済、環境などの分野で国際交流を進め、兵庫の長所を生かして世界に貢献します。
西オーストラリア州との友好提携30周年を迎えることから、友好代表団を派遣します。3月には、バーネット首相自らが来県されるとともに、親善の証として新たに4頭のコアラが贈られます。淡路ファームパークイングランドの丘で飼育展示を行います。
 フランスのセーヌ・エ・マルヌ県とは、交流20周年を契機に経済交流などを促進します。
 昨年、ビジネスミッションとして訪れたインドとの交流がさらに発展するよう、「ABCDEFプロジェクト」、学術、経済、文化、防災、環境、食の分野で多角的な交流を展開します。

 その二は、交流基盤の整備です。
(道路網の着実な整備)
 県土の骨格を形成し、地域発展の基盤となる交通ネットワークの形成を急がねばなりません。北近畿豊岡自動車道と鳥取豊岡宮津自動車道の整備こそ最重点課題です。名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海地域道路の早期事業化に努めます。
 生活道路緊急改善事業により、生活道路の安全確保と通行支障箇所の解消を計画的に進めます。通学路において、歩道・自転車道を重点的に整備します。
 新たな高速道路料金案については、当面、本州道路と本四道路の乗継ぎが500円となりました。一本化への第一歩です。なお、今後の取扱いについては、さらに国との協議を続けます。特に、新たな出資については、不公平のない根拠のある対応を求めていきます。阪神高速道路については、対距離料金制を基本に、本県利用者に著しい料金負担にならないよう求めていきます。
 明石淡路フェリーの運航が休止されたことから、明石海峡大橋を通行できない人や自転車、125CC以下のバイクの橋の通行方策を検討します。
(公共交通の利便性向上)
 鉄道の活用は重要です。余部橋梁架替の効果を十分に発揮できるよう、山陰本線と播但線の地上設備の改良を進め、利用促進を図ります。姫新線では、引き続き増便社会実験を実施し、現行ダイヤの恒久化に向けてJRとの協議を進めます。神戸電鉄、北近畿タンゴ鉄道、北条鉄道が、安全性向上のために行う施設更新などに対して支援します。また、路線バスやコミュニティバスの運営を支援し、地域住民の移動手段を確保します。
(関西3空港などの利活用促進)
 関西の浮揚に向けて航空需要を最大化するためには、関西国際空港のハブ機能の強化と大阪国際空港、神戸空港の有効活用が欠かせません。第一歩として、関西国際空港と大阪国際空港の経営統合案が近くまとまる見込みです。さらに次のステップとして、関西3空港の一体運用や神戸空港の規制緩和を国に粘り強く求めていきます。
 但馬空港については、地域主体の新規路線開設枠を活用した羽田直行便の実現に向け、国や航空会社への働きかけを続けます。
(港湾の利用促進)
 神戸港が国際コンテナ戦略港湾「阪神港」と指定されました。姫路港などからのモーダルシフトを促進し、神戸港への集荷につながる内航フィーダー網を強化します。東播磨港高砂西港で泊地整備を行い、港湾物流機能を強化します。

【兵庫の自立の枠組みづくり】
 重点施策の第五は、兵庫の自立の枠組みづくりです。
 その一は、地方分権改革の推進です。
(地方分権改革の推進) 
 昨年6月、地域主権戦略大綱が決定され、住民に身近な行政は地方自治体に委ね、国は本来果たすべき役割を重点的に担うことを基本に、義務付け・枠付けの見直し、基礎自治体への権限移譲、国の出先機関の原則廃止、ひも付き補助金の一括交付金化などを進めることが決まりました。具体的な成果は今後の取組にかかっています。地方消費税の拡充をはじめとする地方税体系の抜本的な見直しも進めねばなりません。分権時代への歴史的な転換を実現するため、地方から行動を起こします。
(関西広域連合の活動展開)
 昨年12月1日に発足した関西広域連合は、広域連合議会も開催され、いよいよ本格稼働段階を迎えます。
まずは、防災、観光、産業、医療など分野ごとの関西全体の広域的な計画策定に取り組みます。本県が担当する広域防災分野では、関西広域防災計画と関西広域応援実施要綱を策定し、東南海・南海地震などの府県域を越える広域災害に備えます。
 国の出先機関の原則廃止に向け、国と関西広域連合との協議を進め、24年通常国会への法案提出をめざします。
 県民の大きな期待に応えられるよう実績を積み重ね、関西の復権と創造を実現します。

 その二は、21世紀兵庫長期ビジョンの推進です。
(21世紀兵庫長期ビジョンのフォローアップ)
 2030年頃を想定年次とする21世紀兵庫長期ビジョンの策定から10年を迎えます。地域夢会議など県民の参画と協働のもと、持続する地域構造、豊かな生活、世界の中の兵庫の3つの視点でビジョンを総合的に点検しています。新年度には点検の成果を踏まえ、人口減少や少子高齢化などの時代潮流を見据えながら、将来の夢の実現に向けた兵庫の新たなシナリオを描きます。
(参画と協働による地域づくり活動の促進)
 地域課題の解決や共同利益の実現のためには、県民の参画と協働による地域づくり活動が欠かせません。このため、ひょうごボランタリー基金や地域づくり活動支援基金などを活用し、活動の担い手となる地域団体やボランティアグループなどを支援します。
また、各地の県民交流広場の活動が自立していけるよう、交流の場づくりや活動への助言などを行います。

その三は、行財政構造改革の推進です。
 兵庫の自立のためには、健全な行財政構造の確立がなければなりません。
(第2次行革プランの推進)
 20年度に策定した新行革プランのもと、兵庫が大きく飛躍するための準備として、震災で悪化した財政の改善を図りながら、組織、定員・給与、事務事業、投資事業、公社など、行財政全般にわたる改革に全力で取り組んできました。これまでの3年間の取組は、概ねプランの枠組みの中で進捗してきました。
 22年度には、行財政構造改革の推進に関する条例に基づき3年目の総点検を行いました。県議会行財政構造改革調査特別委員会での慎重かつ多角的なご審議や県民の意見も踏まえ、「第2次行革プラン」をとりまとめました。引き続き、県民の理解と協力をいただきながら、改革を着実に実行していきます。
(新たな財政フレーム)
 第2次行革プランの30年度までの新たな財政フレームを策定しました。
23年1月に国が示した経済成長率が新行革プランで用いた経済成長率を下回ったことに加え、23年度から25年度までの3年間の地方一般財源総額を22年度水準とする国の中期財政フレームの影響もあり、新行革プランで見込んでいた財源対策を行ってもなお、30年度までの収支不足額が1,740億円生じる厳しい見通しとなりました。
 このうち、経済成長率の低下などに伴う収支悪化分1,180億円については、その2分の1の590億円は、県民生活への影響にも配慮しつつ、事務事業のさらなる見直しや投資規模の適正化などの歳入歳出対策で解消し、残り590億円は、特別な財源対策として県債管理基金の活用で対応します。一方、国の中期財政フレームにより収支悪化した要調整額560億円については、今後、国の財政対策による解消を求めていきます。
また、財政運営の目標として、30年度の実質公債費比率18%水準などと設定していますが、新たに25年度までの財政運営の中間目標を実質公債費比率24%未満などと設定し、改革の着実な推進に努めます。
(改革の取組)
 本庁組織については、多様な政策課題に総合的かつ機動的に対応するため、現行の5部体制を維持します。県民局については、地域における多様な県民ニーズや地域課題に対応するため、引き続き県下10地域に存置します。
 定員については、前期3カ年の削減状況を踏まえ、新たに25年度までの約1割削減の目標を設定し、事務事業・組織の徹底した見直しなどにより、削減を着実に進めます。給与については、人事委員会勧告に基づく措置を基本とし、厳しい状況のもと、職員の協力を得て、毎年度具体的に定めます。
 23年度から25年度までの3年間、一般事業費を毎年度10%削減し、このうち4%相当額は新規事業財源として活用することで、メリハリのある事業執行に努めます。投資事業については、23年度から30年度までの事業費について、本県の平成2・3年度の中間水準に毎年度の地方財政計画の伸びを反映させた水準を基本に、23年度の経済・雇用対策及び20年度以降の災害関連事業費を増額することで事業量を確保します。
 兵庫県勤労福祉協会の憩の宿事業の民間主体の法人への移管、職員互助会と学校厚生会への県負担金の24年度廃止など、公社等の見直しを進めます。
 行財政構造改革は、時代の変化に対応して、県民の県政への期待を実現していくための基盤づくりです。本県を取り巻く行財政環境は依然として厳しいですが、県民の夢や希望が実現できる兵庫をめざして、全力で取り組みます。

【新年度の財政状況と財源対策】
 これより、新年度予算の概要を説明します。
 23年度の地方財政計画では、地方一般財源総額を22年度水準とする国の中期財政フレームに基づき、地方一般財源総額が、今年度とほぼ同水準となっています。 
 また、社会保障関係経費の自然増や公債費が高い水準で推移することなどから、依然として、地方財政は厳しい状況にあります。
 このため、予算編成にあたっては、第2次行革プランの取組を基本に、国の制度改正や予算編成、地方財政措置を見極めつつ、施策の選択と集中を徹底し、県民ニーズに的確に応えることができる施策を重点的に展開することを方針として予算を編成しました。
 歳入では、景気の持ち直しの動きなどを反映し、23年度の県税収入は、今年度当初予算に比べ、地方法人特別譲与税を含めて約250億円の増収が見込まれるものの、今年度年間見込みの水準に止まっています。
 一方、地方財政計画を踏まえ、実質的な地方交付税が約145億円の減額となることから、一般財源総額は、今年度当初予算とほぼ同水準の約1兆1,453億円を計上しました。
 歳出では、社会福祉関係経費や公債費の増加が見込まれる中、人件費について、給与改定及び定員の見直しを行うとともに、行政経費について、選択と集中を徹底し、ゼロベースからの見直しを進め、施策の重点化を図りました。また、投資的経費について、投資水準の見直しを行う一方で、実需要喚起を図るための事業量を確保しました。
 これにより、歳入歳出の収支不足額は、今年度当初予算に比べ29億円改善し、855億円となりました。この収支不足額に対しては、新行革プランの枠組みの範囲内で、退職手当債や行革推進債の発行、県債管理基金の取崩で対応しました。

 以上の方針のもとに編成した新年度の歳入歳出予算は、
  一般会計      2兆1,284億6,500万円
  特別会計      8,717億6,500万円余
  公営企業会計歳入  1,443億2,300万円余
    同   歳出  1,699億6,100万円余 です。

【条例・事件決議】
 条例については、健康づくり推進条例の制定など21件です。
 事件決議などについては、行財政構造改革推進方策の変更、公の施設の指定管理者の指定など15件です。

以上で新年度の主な県政施策と諸事業の説明を終わります。


 少年時代を兵庫で過ごした宇宙飛行士の野口聡一さんは、今年の新春対談で、大きな夢を持ち続けることと、それに向かって小さな夢を実現していくことの大切さを語ってくれました。新時代の兵庫に向けて、私たちも、ともに大きな夢を描きつつ、地域から夢をひとつひとつかなえていきましょう。このような一歩一歩の歩みこそ、未来の兵庫を拓くことにつながると信じます。

 議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切な議決をいただきますようお願いします。



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