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知事提案説明

平成24年第312回定例会 知事提案説明


  第312回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝をお喜びし、日頃のご精励に敬意を表します。
 提出議案の概要の説明に先立ち、県政の基本的取組について説明します。

【創造と共生の舞台づくり】
(新たなスタートの年)
 兵庫も人口減少社会を迎えました。しかも、少子高齢化を伴っています。それだけに既存の制度やしくみが今の時代に合わなくなっています。新しい社会システムへの転換が急務です。千年に一度とも言われる大震災にも見舞われました。今まさに大きな転換期と言えるでしょう。しかし、歴史を振り返ると、あの敗戦からの戦後の目覚ましい復興など、危機を乗り越えた先にこそ新時代への扉がありました。このたびの危機を克服し、将来不安のない社会システムの再構築に向けて、果敢に挑戦していかねばなりません。
 昨年12月、県議会の議決を経て21世紀兵庫長期ビジョンが見直されました。「創造と共生の舞台・兵庫」をめざし、高い目標を掲げ、豊かさを実感できる社会を県民の皆様と共に実現していきます。まさに、今年はその新たなスタートの年です。
(内なる課題と外からの課題)
 私たちは今、国内外に横たわる様々な課題に直面しています。
 内なる課題の1つは、人口の減少です。人口が減っても活力を失わず、子どもたちが夢を持ち、女性や高齢者がいきいきと活躍できる社会にしなければなりません。規模の拡大ではなく、質の充実が求められています。
 2つは、格差の拡大です。依然として厳しい就職事情、雇用形態の別、年齢や男女の別により雇用の格差が広がっています。意欲ある全ての人々が働くことのできる社会を築くことが重要です。また、地域格差も拡大しています。小規模集落など、地域再生を進めねばなりません。生活の質を高め、豊かさを実感できる社会の構築が必要です。
 3つは、人づくりです。様々な課題に立ち向かい、将来を自ら切り拓いていくことが求められます。国内外の多様な人との交流を通じて、兵庫から世界へ力強く羽ばたくことのできる人材、生まれ育った地域を守り支える人材など、世界や地域で活躍する次代の人材を育成する必要があります。
 外からの課題の1つは、経済です。デフレや円高の長期化に加え、欧州経済の先行きも不透明です。一方で、中国を始め、アジア新興国の台頭が著しく、国際競争を強いられた国内企業のコスト削減も限界に近づいています。中心となる技術を国内で維持しつつ、海外進出や取引の拡大を進めるなど、アジアの元気を兵庫の元気に取り込んでいく工夫が必要です。
 WTOやFTA交渉、TPPなど国際的な貿易自由化の流れが、農林水産業などに与える影響が懸念されます。世界の中で孤立しては、国が成り立ちません。自由化も視野に入れ、競争力を強化しなければなりません。そして、影響を受ける分野に対しては、適切な対応が必要です。
 2つは、エネルギーです。東日本大震災と原子力発電所事故に伴い、当面の電力供給に対する懸念が生じています。エネルギーの確保は、生活水準や産業構造など日本の将来を左右する基本的な課題です。日本のこれからをどうするのか、しっかりした国家戦略が必要です。原子力発電への過度の依存は是正していくとしても、多様なエネルギー源を確保し、長期的には再生可能エネルギーへの転換を進め、そのウエイトを高めていかねばなりません。
(役割の認識と責任ある行動)
 課題は、私たち自身の中にもあります。戦後70年近くを経過する中で、人々の権利意識が肥大化し、ともすれば責任を果たすことがなおざりにされてきたのではないでしょうか。日本が、過去の大きな危機を乗り越えて来られたのは、個人、地域、企業、組織がそれぞれの役割を認識し、責任を果たしてきたからです。
 東日本大震災では、全国の人々が自分たちに何ができるかを考え、行動しました。こうした他者への思いやりや責任感こそ、私たちが本来持っている力です。家庭は、これからも信頼と安心の礎でなければなりません。地域には、互いに支え合い、助け合うつながりの再生が求められます。企業も、利益の追求だけでなく、人を育て、社会を豊かにする社会的責任があります。そして、政治には、今こそ日本の将来ビジョンを示し、進むべき道を国民に示す責任があるのではないでしょうか。一人ひとりが今の時代に相応しい自らの役割を認識し、責任ある行動をとることが求められています。
 県民と共にビジョンを策定し、共有しながら阪神・淡路大震災を乗り越え、参画と協働による社会づくりを進めてきた兵庫県です。共に描いた兵庫らしい将来像の実現に向けて、今一度、それぞれが役割を自覚し、責任を持って行動する姿を全国、世界に発信していこうではありませんか。
 兵庫には、進取の気性、多彩な人材、個性的な地域、分厚い産業構造、科学技術基盤の集積などの強みがあります。これらを十分に生かすことができれば、課題も克服できるはずです。

【県政の基調】
 新年度の県政は、次の4つの柱で推進します。
(安全安心の基盤づくり)
 第1に、安全安心の基盤づくりです。東日本大震災は、想定を超える津波による広域被災への対応など、防災・減災対策に新たな教訓を残しました。地球環境が変化し、風水害も頻発しており、自然災害へ備えねばなりません。
 高齢化の進行や経済・雇用の構造の変化に伴い、健康、食をはじめ、生活の様々な面で、不安やニーズも変化しています。医療、健康、福祉など生活の安心基盤を確保します。
(質の高い生活づくり)
 第2に、質の高い生活づくりです。人口減少、少子高齢化、地域力の低下などを踏まえ、若者の自立や、家庭、地域、職場など生きがいのある生活環境づくりを進め、暮らしやすい社会をつくります。
 また、エネルギー供給の多様化も見据えた再生可能エネルギーの活用など自然と調和した生活を拡大します。
(新時代の経済社会づくり)
 第3に、新時代の経済社会づくりです。大震災のダメージを克服し、我が国経済の双眼構造への転換を進めるためにも、世界に勝てる兵庫経済を確立しなければなりません。海外事業展開、域内経済循環の促進を図り、経済・雇用の安定に努めます。世界水準の研究開発基盤の集積などを生かし、企業の技術力を高め、新たな成長産業を振興します。
 農林水産業について、ブランドの確立、販路拡大や収益性の向上、担い手の育成などにより、その力を高めます。
(地域の元気づくり)
 第4に、地域の元気づくりです。地域の資源を生かし、都市と農村の交流を進め、地域活力の格差解消をめざします。道路、港湾、空港など交流と連携を支える基盤の整備、活用により、地域の活力を増進します。
 国出先機関の丸ごと移管など分権改革が正念場を迎えます。地域のことは地域で決定し、実行できるよう、関西広域連合一丸となって取り組みます。

【新年度の財政状況と財源対策】
 これより、新年度予算の概要を説明します。
 24年度の地方財政計画では、国が財政再建期間であるため、税と地方交付税の地方一般財源総額は23年度と同水準とされました。一方、社会保障関係費は増加します。地方が独自に取り組む行政経費や投資的経費は抑制され、地方財政は厳しい状況が続いています。このため、予算編成にあたっては、第2次行革プランの着実な推進を基本に「選択と集中」を徹底し、県民ニーズに的確に応える施策を重点的に展開することとしました。
 歳入では、税制改正の影響や景気の持ち直しの動き等を反映し、県税収入において、23年度当初予算に比べ、95億円の増収が見込まれます。これに伴い、地方交付税は減収となります。このため、一般財源総額は、23年度当初予算とほぼ同水準となりました。
 歳出では、後期高齢者医療費県費負担金などの社会保障関係費の増加に他の経費の徹底した見直しなどにより対応しました。あわせて、人件費について、定員の抑制等の見直しを行うとともに、行政経費について、新たな長期ビジョンのもと、各分野における中長期計画に沿った施策の重点化を図りました。また、投資的経費について、投資水準の見直しを行う一方、緊急防災・減災事業や災害復旧事業を含めた投資的経費全体では、23年度当初予算を上回る事業費を確保しました。
 しかしながら、歳入歳出の収支不足額は、23年度当初予算に比べ75億円、第2次行革プラン財政フレームに比べ50億円改善したものの、未だ780億円となっています。この収支不足額に対しては、第2次行革プランの枠組みの範囲内で、退職手当債や行革推進債の発行、県債管理基金の取崩で対応します。

【行財政構造改革の推進】
 第2次行革プランの財政フレームも24年度予算を前提に見直す必要があります。
 税収については、改定された国の経済成長率を基に試算しました。地方交付税については、国の財政再建期間が25年度から26年度に1年延長されたことに伴い、26年度まで地方一般財源が据え置かれると考えられるため、地方交付税の見込み額が縮減します。しかも、国の財政再建期間中は、国による特別な措置が期待できません。収支不足対策は県単独で行う必要があります。これらの事情により、第2次行革プランのフレームで見込んだ財政対策を行った後の要調整額は360億円増加してしまいました。
 国に対し地方税財源の充実を求めていく一方、県として施策の選択と集中の徹底など、第2次行革プランに基づく毎年度の歳入歳出改革、財政収支対策を着実に進めていきます。

 これより、新年度の重点施策を説明します。

【安全安心の基盤づくり】
 重点施策の第一は、安全安心の基盤づくりです。
 その一は、防災・減災対策です。
(東海、東南海、南海地震への備え)
 近い将来に発生が予想される東海、東南海、南海地震に備えねばなりません。
 東日本大震災から得た新たな教訓のもと、関西広域連合「関西防災・減災プラン」を踏まえて、県地域防災計画を見直します。現行の防潮堤は、1854年の安政の大地震(M8.4)クラスに耐えられるよう整備し、防ぐことにしていますが、これを乗り越える津波も想定し、乗り越えても防潮堤が破壊されることがないことを基本として、津波防災インフラ整備5箇年計画(仮称)を策定し、防潮堤の点検・整備等を行います。
 国の中央防災会議の津波被害想定を踏まえたシミュレーションを行い、津波避難ビルや緊急輸送路沿道の建築物の耐震化を進めます。耐震改修促進計画に基づき、民間住宅や災害時の拠点となる学校、病院等の耐震化も促進します。 
広域的な対応力を高めるため、近畿2府7県による合同防災訓練と関西広域応援訓練を実施します。また、県外の大規模災害発生時に被災地の初動体制や応急対策を支援する「ひょうご災害緊急支援隊」を創設します。
(災害に強い森づくりと土砂災害対策の推進)
 次に風水害対策です。16年の台風第23号、21年の第9号、23年の第12号、15号など局地的な集中豪雨による大規模災害の教訓を踏まえ、山の管理と谷筋対策を進めています。
 県民緑税を活用し、緊急防災林や里山防災林の整備など災害に強い森づくりを推進します。また、谷筋ごとに少なくとも一つ以上の治山ダム、砂防えん堤を整備する山地防災・土砂災害対策緊急5箇年計画を推進します。特に福祉施設など災害時要援護者関連施設を守るための対策を優先的に行います。
 緊急防災・減災事業を実施し、生活道路の安全対策、局所的な治水事業、老朽化した農業用ため池の補修など緊急整備を進めます。
 (総合的な治水対策の推進)
 県民、事業者、行政等が連携して、「ながす」「ためる」「そなえる」の3つの観点で、流域全域として総合的な治水対策を行う必要があります。このため、総合治水条例案を提案しています。
 「ながす」対策では、河川の上下流のバランスに配慮しながら中上流部の改修や堤防補強を進めます。中小河川では、急激な水位上昇等に備えた緊急改修を行います。また、流域の治水安全度の向上に向け、与(よ)布土(ふど)ダム、金(かな)出地(ぢ)ダム、西紀(にしき)ダムの整備を進めます。さらに、下水道の雨水管の増設にも取り組みます。
 「ためる」対策では、一定規模の開発行為に伴い調整池の設置を義務づけるほか、都市部で内水浸水被害が頻発していることから、校庭や公園での雨水貯留等に取り組みます。
 「そなえる」対策では、施設の耐水化など浸水時の減災対策を推進します。特に、災害時に市町や県民が的確に判断、行動できるよう、ひょうご防災ネットへの参画を促進し、浸水ハザードマップを作成します。県内全河川の氾濫予測情報の市町への配信、道路情報板等を活用した道路防災情報の提供を行います。
 (県民の災害対応力の向上)
 県民の災害対応力の向上を図るため、防災リーダーの養成、避難訓練の実施支援、学校での防災教育、母と子の防災・減災対策を行います。
 共助の力を生かして、地域で要援護者に関する情報の共有と支援体制の構築を進めます。自主防災組織の活性化やフェニックス共済への加入促進を行います。
 (東日本大震災被災地への支援)
 東日本大震災から1年を迎えようとしています。被災地はようやく本格的な復旧復興のスタートを切りました。私たちは、東日本大震災の発生以来、阪神・淡路大震災の経験と教訓を生かし、関西の府県との連携のもと、被災地の応急対策を支援してきました。このたび、国は復興庁を設置し、復興の動きを本格化します。本県も、まちづくりやコミュニティづくり、こころのケア、ボランティアの派遣など被災地の復興過程に応じた支援を引き続き行います。
 災害廃棄物の広域処理については、処理基準や方法など対応方針の明確化を国に求めつつ、関西広域連合で統一した処理の考え方をまとめ、取り組んでいきます。
 
 
 その二は、健康ひょうごの実現です。
 (健康ひょうごの推進)
 生涯にわたり健康な生活が送れるよう、健康づくり推進プランに基づき、生活習慣病予防、歯及び口腔、こころの健康づくりを進めます。
 生活習慣病予防では、健康マイプラン200万人運動を推進し、健全な食生活の実践や医療保険者との連携による特定健診の受診を促進します。がん検診の受診啓発による予防と早期発見にも取り組みます。
 歯及び口腔の健康づくりでは、事業所で歯科健診と事後指導を行うとともに、8020運動推進員を養成します。
 こころの健康づくりでは、かかりつけ医と精神科医との連携、特定健診でのうつチェックを進めます。
 (受動喫煙防止の取組)
 受動喫煙の防止等に関する条例案を提案しています。県民や施設管理者の理解と協力を得ながら健康被害の防止を進めます。
 条例案では、不特定多数の者が利用し、又は出入りできる施設は、原則喫煙できないこととしています。ただし、当分の間は、学校や病院、官公庁等を除く施設では、喫煙室の設置など分煙措置ができるようにしました。また、客席面積100u以下の飲食店、理容所、美容所、宿泊施設の100u以下のフロントロビーでは、事業者の実態に配慮し、禁煙、分煙、喫煙を選択できるようにしました。
 分煙措置をする飲食店等に対しては、施設改修経費の助成と低利融資を行います。
 (地域医療体制の確保)
 小児科、産科など特定の診療科や過疎地等で医師の確保が十分ではありません。
 地域医療人材の養成と派遣の全県拠点として、地域医療活性化センター(仮称)の整備を神戸大学と協力して進めます。また、自治医科大学等でのへき地等勤務医師の養成、県職員として採用した後期研修修了医師等の公立病院等への派遣、産科医の処遇改善への支援、女性医師の復職支援、看護職員の離職防止等に取り組みます。
 救急医療体制を充実します。小児救急医療相談では、電話相談#8000に加え、地域相談窓口を但馬地域にも拡充し、県内全圏域をカバーします。ハイリスク妊婦の広域搬送調整など周産期医療体制を強化します。ドクターヘリについては、関西広域連合で兵庫、京都、鳥取での運航を行っていますが、淡路地域、播磨地域への導入も検討します。地域医療再生・医療施設耐震化支援基金を活用し、3次医療圏域レベルの広域医療体制を整備します。
 県立病院では、尼崎病院と塚口病院との統合再編、淡路病院の移転整備、光風病院の児童思春期病棟の整備を進めます。こども病院は、建替整備基本計画に基づき、小児、周産期医療の全県拠点病院として、新生児集中治療や小児がん治療の機能を充実し、合併症を持つ妊産婦や小児期の疾患を抱えたまま成人した患者への対応など、連携により相乗効果が発揮できる神戸市立中央市民病院の隣接地へ移転整備を進めます。
 
 その三は、安心基盤の確保です。
 (元気な高齢社会の実現)
 少子高齢社会福祉ビジョンに基づき、高齢者や障害のある人も活躍できる社会の実現に取り組みます。
 後期高齢者医療における24年度、25年度の保険料率の増加を抑制するため、財政安定化基金を活用して、後期高齢者医療広域連合に助成します。
 介護保険財政安定化基金を取り崩し、市町に交付して第5期介護保険料を軽減するとともに、その一部を地域振興基金に積み立て、高齢者の在宅生活を支援する事業に活用します。
 高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、LSAの復興公営住宅等への配置や市町での導入を促進し、高齢者自立支援ひろばの運営を支援します。また、定期巡回等の導入に向けて事業者を支援します。
 市町の地域包括支援センターを中心に、医療や介護、予防などの支援体制を構築します。あわせて、小学校区等の身近な地域において、多様な活動主体により、配食、移送、ミニデイサービス等の福祉サービスや見守り活動が提供される「安心地区」の整備を進めます。
 高齢者が社会活動に積極的に参画し、互いに支え合うことにより、地域が維持、活性化されます。元気な高齢者の能力、経験が生かせる就業機会や地域活動の創出に向け、能力開発やスキルアップ、マッチング等に取り組みます。高齢者自身がニーズを理解し、体力的にも担いやすい高齢者向け生活支援サービスをはじめ、農業、環境、生涯学習等での事業化を支援します。ホームヘルパー2級等の資格取得や介護実践への支援、老人クラブが行う子育て支援や地域見守り活動の促進を行います。
 多くの県民が、高齢期に自分自身や家族が寝たきりや認知症になることに不安を抱いています。認知症対策では、県内全圏域での認知症疾患医療センターの設置や認知症対応医療機関の登録、認知症医療介護連携パスの作成に取り組みます。あわせて、定期健診でのチェックや予防教室の開催など認知症予防事業を行います。
 (障害者自立支援の推進)
 障害のある人のくらしや自立を支援します。
 市町の基幹相談支援センターの立ち上げ、グループホームの整備や重症心身障害児施設の機能強化、リハビリ体制の構築に取り組みます。
 障害のある人のしごとを確保するため、障害者就業・生活支援センターで相談指導を行います。また、小規模作業所から新体系へ移行した事業所への改修費の助成や、空き店舗を活用した授産施設販売所の設置を支援します。授産製品コンテスト「スウィーツ甲子園」の関西域での実施や商談会等を通じて、授産製品の品質向上と販路拡大を図ります。
 情緒障害児童を受け入れている県立清水が丘学園が改築整備され、24年4月に供用開始します。あわせて、発達障害児の診断・診療機能と療育機能を担う県立こども発達支援センター(仮称)を24年7月に設置します。5歳児発達障害相談は、モデル市町での実施の評価を踏まえて普及を図ります。
 (児童虐待防止対策等の推進)
 児童虐待相談が増加し、親以外からの暴力も含めてケースが深刻化しています。子どもの安全確保を最優先にします。
 こども家庭センターでは、心理担当職員を増員配置して、虐待相談や、虐待をした親への指導を通じた家族の再生に取り組みます。さらに、アドバイザーを配置して市町の相談支援活動をサポートします。
 県内6カ所の児童家庭支援センターでは、見守りや支援が必要な親子へ24時間365日体制で対応します。
 住民参加による虐待予防と早期発見を図るため、児童委員による家庭復帰後の子どもの見守り活動や、子育て応援ネットによるSOSキャッチ活動を強化します。 
DV(配偶者等暴力)や高齢者虐待の被害者支援、予防啓発にも取り組みます。
 (自殺対策の総合的な推進)
 県内の自殺者数は56人減少し、昨年1,303人となりました。まだ、毎年1,300人を超えています。28年までに1,000人以下に減らすことを目標に、社会全体で手を差し伸べます。
 「いのちの電話」による24時間相談等に加え、働き盛り層を対象とした電話相談を行います。また、地域の相談役として、いのちとこころのサポーターや介護人材を養成し、地域での見守りを強化します。
 自殺の主な原因はうつ病です。うつ病対策として、早期発見、早期治療にあわせ、救命救急センターに精神保健福祉士等を配置して自殺未遂者を支援します。
 (消費生活の安全安心の確保)
 高齢者を狙った悪質商法や青少年のインターネット利用でのトラブルなど消費者被害が後を絶ちません。
 消費生活の安全安心を確保するため、県立生活科学総合センターを中心に、県、市町の消費生活センターの連携を強化します。
 消費者が良質で安全安心な商品を選択できる力を身につけられるよう、消費者グループと連携して、学習、啓発など「かしこい消費者活動」を展開します。
 食品の安全性、信頼性の確保に向け、兵庫県認証食品の生産や、県版HACCP認定制度、トレーサビリティの導入を促進し、食品関係事業者の衛生管理力を高めます。
 高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病、集団食中毒等の危機管理事案に対しては、即応体制で適切な対応を続けます。
 (安全安心な地域づくりの推進)
 安全安心な地域づくりに向け、まちづくり防犯グループへの活動支援や防犯カメラの設置を行います。
 交通事故防止対策では、生活道路での信号機や道路標識の設置、通行支障箇所の解消など緊急改善を行い、「ストップ・ザ・交通事故」県民運動を推進します。
 高齢者など歩行者と自転車との接触事故が急増しています。「歩行者・自転車分離大作戦」を展開します。歩道や路肩のカラー舗装等による自転車通行空間の確保、歩行者の安全対策を進めます。あわせて、自転車教室での交通ルールの啓発や自転車保険の加入促進に取り組みます。
 神戸水上警察署、佐用警察署を改築移転します。小野警察署(仮称)については、設置に向けた調査検討を進めます。
 
【質の高い生活づくり】
 重点施策の第二は、質の高い生活づくりです。
 その一は、次代を担う人づくりです。
 (少子対策・子育て支援の推進)
 若い男女の未婚と、初婚の高年齢化により、少子化が進んでいます。若者が将来の生活に展望を持てるとともに、子育ての喜びや家庭、地域のつながりが大切です。新ひょうご子ども未来プランに基づく少子対策・子育て支援を行います。
 若者の出会いと結婚を応援するため、ひょうご出会いサポートセンター等での出会いイベントやお見合い紹介等を引き続き実施します。
 出産、子育て支援として、妊婦健康診査や不妊治療に助成します。小学6年生までを対象に通院医療に、中学3年生までを対象に入院医療に助成しています。第3子以上の多子世帯の保育料軽減を拡充し、保育料月5千円を超える部分について支援します。
 待機児童対策や保育ニーズの多様化に対応します。安心こども基金を活用し、保育所の整備や認定こども園を拡充します。延長保育や病児・病後児保育、認定こども園での障害児保育の導入、事業所内保育所の整備を支援します。私立幼稚園での長時間預かり保育、育児不安の保護者対策として在宅乳幼児の子育てを応援します。
 放課後子ども教室や児童クラブを活用して、放課後の子どもの居場所づくりを進めます。子育て中の親子が気軽に集える「まちの子育てひろば」や県民の健康と医療の相談に応える「まちの保健室」、ママの子連れセミナーの開催により、子育ての悩み解消を支援します。
 地域ぐるみの子育てを推進するため、子育て家庭への情報提供や相談支援を行う「まちかど子育て相談員」の養成、「子どもの冒険ひろば」「若者ゆうゆう広場」づくりを進めます。子育て応援協定企業や団体を拡げます。
 (「確かな学力」を育む教育の推進)
 小中高校において、確かな学力を育む教育を推進します。
 小学校4年生までの35人学級編制を引き続き実施します。5・6年生では教科担任制と少人数学習を組み合わせた兵庫型教科担任制を約200校拡充して660校とし、小規模校を除く全校で実施します。
 児童数が減少した過疎地・へき地の小規模小学校では、広域的な小学校間の合同授業など交流により学習環境を充実します。
 確かな学力の基盤となる「ことばの力」の向上に向け、小中高校を通じて指定校を設け、各教科で言語活動の充実を図る実践研究を行います。
 県立高校では、多部制単位制高校や連携型中高一貫校の設置、専門学科によるスペシャリストの育成、理数教育や国際教育による学力向上など学校の個性化、多様化を進めます。また、日本の歴史や文化に関する副読本を作成し、世界とのかかわりを学びます。
 県立高校の新通学区域については、生徒の多様な選択肢を確保するため、現行の16学区を5学区に再編することとし、27年度入学者選抜からの導入に向けて準備を進めます。
 (「豊かな心」を育む教育の推進)
 多様な体験学習が兵庫教育の特色です。
 小学3年生の環境学習、5年生の自然学校、中学1年生のわくわくオーケストラ、2年生のトライやる・ウィークを引き続き実施します。県立高校では、地域貢献や就業体験活動の実施、社会人としての基礎を培う教育カリキュラムの研究を進めます。
 (「健やかな体」を育む教育の推進)
 児童生徒の健やかな体を育みます。
 小学校の体育の授業や中学校の運動部活動に指導者を派遣して、児童生徒の体力、運動能力の向上を図ります。また、給食をはじめ学校の教育活動を通じて、食育を推進します。
 (特別支援教育の充実)
 LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)等の児童生徒が安定した学校生活を送れるよう、学習障害相談や学校への専門家チーム、教育事務所のアドバイザーの派遣など市町の特別支援教育を支援します。
 障害のある生徒の自立を支援するため、24年4月に、多部制単位制の県立阪神昆陽高校の開設と同時に、県立阪神昆陽特別支援学校を開設します。中・西播磨地域では、新設校の調査検討を行います。
 (県立大学の個性化・特色化)
 県立大学では、25年4月の公立大学法人への移行に向けた準備を進めます。また、コウノトリの野生復帰と山陰海岸ジオパークを主たる研究領域とする地域資源マネジメント研究科(仮称)の開設準備を進めます。
 (私立学校教育の充実)
 専修学校等を含む私立学校に対して経常費を中心に助成を行います。低所得世帯に対し、国の就学支援金の支給に加え、県単独助成により授業料を軽減します。
 
その二は、誰もが暮らしやすい社会づくりです。
 (ユニバーサル社会づくりの推進)
 年齢、性別、障害、文化等の違いにかかわりなく、誰もが安心して暮らし、元気に活動できるユニバーサル社会をめざします。
 福祉のまちづくり基本方針に基づき、鉄道駅舎へのエレベーター設置やノンステップバスの導入を進めます。高齢者や障害のある人などが利用者目線で施設点検や助言を行います。県主催イベントでは手話通訳と要約筆記を配置します。
 障害のあることが外見からは分かりにくい人が安心して出かけられるよう、全国に先駆けて制定した「譲りあい感謝マーク」を普及します。兵庫ゆずりあい駐車場(パーキングパーミット)制度を導入し、障害のある人などが利用する駐車場の適正利用を図ります。
 (美しく快適な住環境の実現)
 豊かな住生活を実現するため、住生活基本計画に基づき、長期優良住宅の普及や明舞団地の再生、古民家再生に取り組みます。UR借上県営住宅については、入居者の事情にも配慮しながら、原則として円滑な住み替えを進めます。
 県民緑税を活用した植樹や芝生化など住民団体への緑化活動支援を通じて環境に配慮した美しいまちづくりを推進します。潮芦屋地区では、企業庁と民間が協働して、先進のエコ設備を備えたスマートハウス街区を整備します。
 (都市公園の活用促進)
 地域性の高い小規模な県立都市公園については、23年度末に県立都市公園としては廃止し、地元での利用施設とします。西武庫公園は尼崎市に、北播磨余暇村公園は多可町に移譲します。神陵台緑地は引き続き一般開放します。明石西公園は、県立がんセンターに移管して一般開放し、テニスコートは県立施設として運営します。
 (芸術文化の振興)
「芸術文化立県"ひょうご"」をめざし、多彩な事業を展開します。
 本県出身の世界的な美術家である横尾忠則氏から作品、資料の寄贈、寄託を受け、原田の森ギャラリー西館を、横尾忠則現代美術館(仮称)として24年11月にオープンします。展覧会をはじめ、横尾氏による公開制作や著名人との対談等を行います。
 開館10周年を迎える県立美術館では、「カミーユ・ピサロと印象派-永遠の近代展」等の特別展を開催します。
 芸術文化センターでは、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ「トスカ」等の自主制作公演や付属管弦楽団の定期演奏の提供、ワンコインコンサートや「わくわくオーケストラ教室」等の普及事業を行います。
 ピッコロシアターでは、ピッコロ劇団による「博多小女郎(こじょろう)波枕(なみまくら)」の上演や県内の中学生を対象にした「ピッコロわくわくステージ」等を実施します。
 兵庫陶芸美術館の「柳(やなぎ)宗悦(むねよし)と丹波の古陶展」、歴史博物館の「鶴(かく)林寺(りんじ)太子堂−聖徳太子と御法(みのり)の花のみほとけ展」、考古博物館の「清盛と日宋貿易展」など魅力ある事業を展開します。
 開館20周年を迎える人と自然の博物館では、記念イベントの開催、恐竜・ほ乳類化石の発掘調査の検証と情報発信、魅せる収蔵庫の整備に取り組みます。
 (スポーツの振興)
 今年はロンドンオリンピックが開催されます。競技スポーツの振興に向け、長期的展望に立った選手の発掘・育成、若手指導者の資質向上に取り組みます。
 また、生涯スポーツの核となる「スポーツクラブ21ひょうご」では、全県スポーツ大会等を通じてクラブの連携と活動の活性化を図ります。
 第2回神戸マラソンは、昨年の第1回大会の成果を踏まえ、24年11月25日に神戸市と共同で開催します。台湾との高校野球交流、フランスのアヴェロン県との柔道交流、日本古武道演武大会も行います。
 
その三は、自然と調和した生活の拡大です。
 (省エネ・節電対策)
 関西電力管内の原子力発電所が、今月、定期検査に伴い全て運転を停止します。関西地域では電力不足が懸念されます。電力需給ひっ迫時には、家庭やオフィスでの省エネ・節電の一層の取組にご協力をお願いします。県も率先して、県施設や道路照明の省エネ化を進め、職員の省エネ・節電行動を徹底します。
 (エネルギー確保対策)
 エネルギーの安定確保は、県民生活や都市機能、経済活動の維持に不可欠です。多様なエネルギーの利用を促進し、電源の分散、自立化を進めます。
 24年7月から始まる電力の固定価格買取制度も見据え、太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの活用を拡大します。太陽光発電相談指導センターでは、太陽光発電や太陽熱温水器、ペレットストーブ等に関する相談に応じます。また、企業の自家発電設備、家庭用燃料電池導入への融資、住宅の太陽光発電設備導入への補助、融資を行います。
 湯村温泉では、地熱によるバイナリー発電の導入に向けた調査検討を進めています。
 (地球温暖化防止対策の推進)
 低炭素社会の実現に向け、県内CO2排出量の7割近くを占める産業部門では、主に大規模事業者に対し、省エネ機器の導入や施設の運転方法の改善などCO2排出削減に向けた指導を引き続き行います。CO2削減協力事業については、中小事業者のCO2削減量を集約して大規模事業者とのマッチングを進めます。
 排出量が増加している民生部門では、先進県として家庭でのエコ診断を促進します。また、運輸部門では、低公害車の導入促進やエコドライブの普及啓発に取り組みます。
 県の新たな地球温暖化防止推進計画については、国のエネルギー・環境政策の動きを踏まえ、取組目標を設定します。
 (循環型社会の構築)
 循環型社会の構築をめざし、廃棄物処理計画に基づき廃棄物の減量化やごみ発電の導入を進めます。
 (生物多様性の保全・再生)
 広大な県土の豊かな自然を次世代に遺すため、生物多様性ひょうご戦略を推進します。生態系を含むレッドデータブックは、新たに鳥類を作成します。
 また、コウノトリの野生復帰については、個体群の維持と自活の促進、南但馬地域等での生息域の拡大に取り組みます。福井県に貸し出したつがいの飼育、繁殖を支援します。
 (野生動物の被害防止対策の推進)
野生動物による農林業被害が深刻です。農林業者が安心して生産活動を営めるよう、被害を防ぎ、人と野生動物の共存をめざします。
 シカの年間捕獲目標3万頭を継続し、捕獲実施隊の編制や射撃訓練への支援、大量捕獲わなや防護柵の設置など被害防止対策を進めます。また、シカ肉の需要を拡大するため、シカ肉活用ガイドラインの普及や処理加工施設の整備支援を行います。
 野生動物と人を棲み分けるバッファーゾーンの設置、クマの学習放獣、サルの生息状況に応じた捕獲やイノシシ等の捕獲用わなの整備を支援します。アライグマ、ヌートリアなど外来生物の駆除も進めます。
 さらに、鳥獣害共済基金により、被害を受けた農家の再生産を支援します。
 
【新時代の経済社会づくり】
 重点施策の第三は、新時代の経済社会づくりです。
 その一は、産業立県・兵庫づくりの推進です。
 (産業立県・兵庫づくりの推進)
 本県経済は、円高・デフレの長期化や海外経済の減速により厳しい状況が続いており、電力不足等の懸念も生じています。有効求人倍率は依然として低く、今春卒業予定の就職内定も厳しい状況です。切れ目なく緊急経済雇用対策を行い、経済の早期回復と雇用確保を図ります。
 ひょうご経済・雇用活性化プログラムを着実に推進し、科学技術研究開発の集積を生かしてエネルギーや医療、健康など成長産業分野でのイノベーションを創出し、日本再生を牽引する産業立県・兵庫をめざします。
 
その二は、地域基幹産業・企業の競争力強化です。
 (科学技術研究開発集積の強化)
 国際競争に打ち勝てる強い基幹産業や企業を生み、育てるには、革新的な技術、製品開発が必要です。
 世界最高性能の計算速度を有する京速コンピュータ「京」が24年秋に本格稼動します。高度計算科学研究支援センターの技術支援等による「京」を活用した研究促進や、ひょうご神戸サイエンスクラスターの形成に取り組みます。
 同時に、SPring-8やX線自由電子レーザー「SACLA」との一体利用により、ナノ分野での新産業、新技術の創出をめざします。
 国の指定を受けた「関西イノベーション国際戦略総合特区」の取組を進め、先端医療・医薬品、電池・エネルギー分野での産業集積の形成を図ります。
 (戦略的な企業誘致の推進)
 円高の長期化に伴い、生産機能の海外移転が加速しています。
 産業集積条例に基づく優遇制度を活用して戦略的な企業誘致を推進します。ひょうご情報公園都市E工区の分譲を進めるなど地域特性に応じた誘致活動を展開します。 
企業が移転する場合には、地域のまちづくりに適した跡地活用を促します。
 (県内企業の海外事業展開支援)
 成長が著しいアジア新興国等における県内企業の事業展開を支援します。
 新たに兵庫県香港経済交流事務所を設置するとともに、現地アドバイスを行う「ひょうご国際ビジネスサポートデスク」は、中国、ベトナムに加え、インド、インドネシア、タイに増設します。また、総合相談窓口であるひょうご海外ビジネスセンターの体制を強化します。
 海外市場の開拓に向け、ビジネスミッションの派遣や、地場産業のブランド力強化、新製品・新技術開発の促進に取り組みます。
 
(産学官連携による産業技術の創出)
 中小企業の技術、製品開発を促進するため、県立工業技術センターでは、高度な試験研究機器を備えた技術交流館(仮称)を24年10月に供用開始します。また、兵庫イノベーション集積協議会と連携して、大企業とのマッチングや産学連携を支援します。「ひょうごNo.1ものづくり大賞」を創設し、中堅、中小企業の独創性の高い技術、製品を表彰、PRします。
 
 その三は、域内経済循環の促進です。
 (域内資金循環の促進)
 中小企業融資制度では、海外市場の開拓、第二創業、経営革新など中小企業の新分野への挑戦を促す支援を拡充し、全体の融資目標額を4,500億円確保します。
 企業の防災意識の高まりや電力不足に対応するため、防災・エネルギー設備促進貸付を創設し、1.2%の優遇金利を適用します。新規開業貸付を拡充し、開業後1年以内の事業者も利用できるようにします。
 資金繰り支援については、経営円滑化貸付、借換貸付、長期資金での融資期間等の拡充措置を継続します。
 (新分野進出等の支援)
新分野進出や先導的な事業開拓をめざす企業を支援するため、県COEプログラムによる研究開発助成や実用化開発資金貸付を行います。また、「ひょうごクリエイティブビジネスグランプリ」により先導的なサービス業を表彰、PRします。
 (地域に密着した商店街とまちの再生)
地域に密着した商店街やまちの再生を進めます。
 専門家による商店街再生プランの策定、商業施設の再生整備、空き店舗を活用した魅力ある店舗やコミュニティ施設の誘致を支援します。
 
 その四は、地域人材の強化です。
 (産業人材の強化)
 緊急雇用対策では、県事業として約2,200人の雇用を創出するとともに、就職先がない新規卒業者を県の非常勤嘱託員として約120人採用して就職につなげます。
 若者しごと倶楽部等において、就職相談や職業紹介を実施します。また、ものづくり中小企業での理工系の人材確保を支援します。ふるさと人材確保応援事業では、対象地域を北播磨、西播磨にも拡充し、若者やU・Iターン人材の地元定着を促進します。
 兵庫しごとカレッジ推進会議において、離転職者や若者の早期就職を支援します。また、認定職業訓練や県立職業能力開発校での企業在職者訓練を強化します。
 ものづくり大学校では、教育研修施設において次代を担う人材の育成、技能レベルに応じた在職者訓練、匠の後継者育成に取り組みます。25年1月に供用開始するものづくり体験館では、中学生を中心に職業体験機会を提供します。
 (女性の就業支援)
 生産年齢人口が減少するなか、社会経済活動の発展には女性の力が欠かせません。
 出産や育児等により離職した女性の再就業を促進するため、県立男女共同参画センターに女性就業相談室を設置し、グループでの「ママの働き方相談会」から、個別相談、再就職セミナーを経て就業につなげる「ひょうご女性再就業応援プログラム」により、切れ目のない支援を行います。
 仕事と生活の調和を図りながら働き続けることができる社会の実現に向け、ひょうご仕事と生活センターにおいて相談や実践支援を行います。育児、介護等により離職した人の職場復帰、休業者の代替要員確保への助成も行います。
 厳しさが予想される新規卒業の女子学生に対して、キャリアセミナーや合同企業説明会を行います。
 
 その五は、競争に強い農林水産業の確立です。
 (競争に強い農林水産業の確立)
 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の参加に向けた交渉に入ることはやむを得ないとしても、本県の農林水産業へ影響を与えかねません。ひょうご農林水産ビジョン2020に基づき、国内外の産地間競争に打ち勝てる強い農林水産業の確立をめざした取組を推進します。
 (農業生産力の強化)
 農業生産力の強化に向け、国の農家直接支払制度への加入を促進し、麦、大豆の作付けを拡大します。さらに、農業改良普及センターごとに、特色ある農作物の生産増強に取り組みます。
 県産農林水産物を活用した6次産業化を促進するため、加工品の試作、直売所設置等へ助成します。
 畜産経営の効率化に向け、自給飼料の増産や乳用牛の能力向上を促進します。
 
(農林水産物のブランド化)
 県産農林水産物の付加価値を高めるため、ブランド戦略を推進します。
 ブランド指導相談室と農業改良普及センターが連携して技術、経営指導を行います。モデル産地ごとのブランド戦略の策定を支援します。
 但馬牛(うし)の20,000頭増頭対策を推進し、神戸ビーフのブランド力を活用して販路を拡大します。
 また、安全安心で個性豊かな兵庫県認証食品として奨(すす)める「ひょうご推奨ブランド」と、残留農薬等の要件が厳しい「ひょうご安心ブランド」の認知度を向上させるため啓発キャンペーン等を実施し、認証食品の消費を拡大します。このための生産体制も強化します。
 (「県産県消」県民運動の展開)
 地域農業に対する都市住民の理解を促進するため、生産現場での学習会や、直売所を巡るバスツアーの企画提案を行います。また、消費者にとって魅力のある直売所づくりに向け、直売所運営者を対象にアドバイザーによる助言やセミナーを行います。そして、農林水産物の「県産県消」を進めます。
 (農業の担い手育成)
 就農前の研修期間や、農業経営が不安定な新規就農直後に年150万円の給付金を支給して所得水準を確保し、新規就農を安定化させます。指導的立場の農業者による就農定着応援活動を促進します。
 農地集積への協力者に協力金を交付します。集落営農組織化に向けた合意形成を支援し、複数の集落営農組織による生産の大ロット化や特産品開発等を促進します。
 (楽農生活の推進)
 兵庫楽農生活センターでは、生きがいとして農業を楽しみたい人や本格的に農業経営をめざす人への研修、市民農園の開設支援など、生活の中で食と農に親しむ「楽農生活」の実践を促進します。
 (豊かな海の再生) 
 瀬戸内海では、水質は改善したものの漁業生産量が減少しています。豊かな海と美しい海の再生をめざし、法制化を視野に取り組みます。栄養塩の低下対策として、下水処理施設の管理運転を検証し、市町への導入を促進します。
 また、安定的な水産物の供給を図るため、瀬戸内海の「第2の鹿ノ瀬構想」や日本海のズワイガニ増殖場など漁場整備を進めます。兵庫ノリの認知度向上やアカガレイのブランド化を支援します。
 (県産木材の利用促進) 
 新ひょうごの森づくりを推進するため、森林管理100%作戦を展開し、土砂の流出や崩壊の防止、水資源のかん養など森の公益的機能を回復し、経済林としての再生をめざします。
 成熟した人工林資源を有効活用し、兵庫木材センターを核に、伐採、利用、植林、保育のサイクルが機能する林業を確立します。製材工場へ計画的、安定的に原木を供給するため、低コスト原木供給団地の設定やひょうご林内路網1,000q整備プランを進めます。
 また、県産木材の利用拡大を図るため、県産木材利用住宅への融資や優れた建築の表彰、PRを行います。
 
【地域の元気づくり】
 重点施策の第四は、地域の元気づくりです。
 その一は、地域活力の増進です。
 (地域再生大作戦の推進)
 過疎化や高齢化により活力が失われつつある多自然地域では、地域再生大作戦を推進し、都市との交流や相互交流の促進等により、地域活性化や農業振興、定住促進に取り組んでいます。
 地域資源を生かした取組を誘導できるリーダーを育成するため、ひょうご地域再生塾を実施します。また、小規模集落元気作戦のモデル集落での成功事例や、多自然地域の魅力を発信します。
 (あわじ環境未来島構想の推進)
国の地域活性化総合特区の指定を受けた「あわじ環境未来島構想」では、エネルギーと農を基盤に暮らしが持続する地域社会の実現に向け、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用、あわじ環境市民ファンドの創設、農と食の専門人材育成拠点の形成等に取り組みます。
 (強みを生かした地域づくり)
 地域住民の自主的、自立的な取組を地域活性化につなげるため、地域の夢推進事業を推進します。
 ジャズシティ・KOBE、尼崎運河再生プロジェクト、北摂里山博物館構想、東播磨の水辺名所づくり、北播磨の医療・福祉包括ケアシステム、銀の馬車道プロジェクト、自然満喫!西播磨暮らし、山陰海岸ジオパーク、大丹波の広域観光、淡路島古事記編纂1300年記念事業など、特色のある地域プロジェクトを進めます。
 (観光ツーリズムの推進)
 兵庫の魅力を国内外へ発信し、観光ツーリズムを推進します。
 NHK大河ドラマ「平清盛」を機に観光資源の発掘や誘客を促進します。ドラマが神戸を舞台に佳境を迎える秋の行楽期からは「あいたい兵庫キャンペーン2012」を展開し、各地域の食などの観光資源とあわせて集中的にPRします。
 また、訪日観光客の増加が見込まれる東アジア地域において、国際旅行博への出展や訪日教育旅行の誘致など、関西の府県と連携して誘客を促進します。
 (国際交流の推進)
 多様な分野で国際交流を進め、外国人県民との相互理解のもと、多文化共生社会の実現に取り組みます。
 中国の広東省友好提携30周年、フランスのセーヌ・エ・マルヌ県交流20周年、ドイツのシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州交流15周年を機に、各地域との国際交流を促進します。
 
 その二は、交流と連携の基盤整備です。
 (道路網の整備と利便性向上)
 基幹道路ネットワークを形成しなくてはなりません。
 北近畿豊岡自動車道の和田山八鹿道路が24年秋に供用開始します。新名神高速道路、播磨自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道など基幹道路の整備を進めます。名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海地域道路の早期事業化にも取り組みます。
 関西都市圏の高速道路は、複数の運営主体と料金体系が混在しています。本四道路の料金については、現在、国との調整会議で協議しています。全国料金プール制への組み入れなど、公平で利用しやすい料金体系となるよう求めています。 
(空港の利用促進・利便性向上)
関西の復権や双眼構造の国土形成をめざすには、関西国際空港の機能強化と大阪国際空港、神戸空港の有効活用が欠かせません。24年7月に関西国際空港と大阪国際空港が経営統合します。両空港の一体的かつ効率的な運営や関西3空港の一体運用、神戸空港の規制緩和を強く求めます。
 コウノトリ但馬空港は、羽田直行便就航に向けて国や航空会社への働きかけを続けます。
 
(港湾の機能強化と利活用促進)
 神戸港を含む国際コンテナ戦略港湾「阪神港」へのコンテナ貨物の集荷につながる内航フィーダー網を強化するため、姫路港等からのモーダルシフトを促進します。
 (公共交通の利用促進・利便性向上)
鉄道では、JR山陰本線と播但線の地上設備の改良を進めます。また、余部鉄橋の一部を保存し、展望施設余部鉄橋「空の駅」(仮称)として整備活用します。
 神戸電鉄粟生線への支援については、阪急電鉄の協力も得て実施する神戸電鉄の経営努力、沿線3市の利用促進施策を前提に、安全施設整備に関する国庫補助の活用に加え、神戸市、三木市、小野市と共に、新たに40億円の無利子貸付を行います。
 また、路線バスやコミュニティバスの運行を支援し、地域住民の移動手段を確保します。
 
 その三は、地方分権改革の推進です。
 (関西広域連合の活動展開)
 関西広域連合では、広域防災での応援・受援に関する実施要綱の作成、広域観光での魅力発信事業など分野別の取組を本格化します。また、首都機能のバックアップ体制の構築など調査研究に取り組みます。
 国の出先機関の原則廃止については、野田総理大臣から本年通常国会への法案提出の決意が示されましたが、26年度からの丸ごと移管には関係省庁との調整が必要です。新しい国と地方との枠組みの構築に向け積極的に取り組みます。
 今後とも、関西広域連合が広域行政を担う機関として十分な機能を発揮するよう、政令市の参加も得ながら、活動実績を積み重ねていきます。
 (地方分権改革の推進)
昨年、地域主権改革推進一括法が公布されました。これに伴う条例事項の制定を提案しています。しかし、政省令事項を条例で定める仕組みなど自治立法権への強制とも受け取れます。今後、さらなる地方の裁量拡大に向け、国に義務付け・枠付けの見直しを求めるとともに、県独自の市町への権限移譲を検討します。
 国と地方の協議の場では、国民生活の根幹に関わる制度設計について協議しました。特に、社会保障と税の一体改革では、国、地方を通じて大幅な財源不足のなか、消費税増収分だけでは社会保障関係費の増加を賄う財源が確保されたとは言えません。引き続き、地方六団体が一丸となって抜本的な改革を提言していきます。
 
その四は、21世紀兵庫長期ビジョンの推進です。
 (21世紀兵庫長期ビジョンの推進)
2040年を展望して、昨年、21世紀兵庫長期ビジョンを見直しました。新たな将来像の実現に向け、創造と共生の舞台づくりを進めます。
 県民の理解と参画が得られるようビジョンの普及に努めつつ、長期ビジョン審議会を通じて、推進方策やフォローアップ指標を具体化します。また、地域ビジョン委員を中心に、各地域の特性を生かした取組を拡大します。
 地域課題の解決や共同利益の実現のためには、県民の参画と協働による地域づくり活動が欠かせません。ひょうごボランタリー基金や地域づくり活動支援基金を活用し、地域団体やNPO、ボランティアグループを支援します。また、各地の県民交流広場の活動充実を図ります。
 
【新年度の歳入歳出予算】
 これにより、編成した新年度の歳入歳出予算は、
 一般会計             2兆 159 億 8,100 万円
 特別会計            9,741 億 2,000 万円余
 公営企業会計歳入      1,536 億 6,900 万円余
 同   歳出          1,779 億 7,900 万円余 です。
 
【条例・事件決議】
 条例は、受動喫煙の防止等に関する条例、総合治水条例など21件です。
 事件決議は、公の施設の指定管理者の指定など43件です。
 専決処分の承認を求めるものは、1件です。
 
 兵庫ゆかりの実業家、松方幸次郎氏は、松方コレクションでも知られていますが、常に時代を先取る先進性と行動力を持っていました。第1次世界大戦の開戦時の鉄材確保と注文を見越した船舶の建造、厳しい賃上げ交渉を経ての日本初の本格的な8時間労働の導入など、その先見の明、逆境をバネに前例のないことに挑戦する姿勢は、厳しい今の時代にまさに必要なものではないでしょうか。私たちも、この危機を乗り越え、「創造と共生の舞台・兵庫」を実現するため、共に挑戦していきましょう。
 以上で、新年度の主な県政施策と諸事業の説明を終わります。議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切な議決をいただきますようお願いします。
 
 

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