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知事提案説明

第290回定例会 知事提案説明


 第290回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に敬意と感謝を表します。

 「大いなる地震ゆりしより十年余り 立ち直りし町に国体開く」
 昨年末、天皇陛下から賜った御製は、阪神・淡路大震災から12年間、復旧復興に全力を傾注してきた被災地への深い思い入れと、復興の象徴として迎えた第61回国民体育大会の晴れやかな開会を喜び、さらなる激励をいただいたものと心から感謝しています。
 のじぎく兵庫国体とのじぎく兵庫大会の開催により、私たちは、全国から寄せられた温かい支援に心から感謝し、生まれ変わった新たな兵庫をアピールすることができました。
 もとより震災復興が終わったわけではありませんが、これにより一つの区切りを迎え、まさしく「元気な兵庫」へ飛躍する新しいステージに立っていると言えるでしょう。
 創造的復興をめざして培ってきたものを礎に、兵庫のもつ強み、兵庫らしさを十分に発揮し、力強く歩み出さなければなりません。

 ここに平成19年度の予算を提案するにあたり、県政に取り組む基本的な考え方を説明します。


【時代認識】
 最近、戦後社会のひずみとも思われる事件が相次いでいます。命の大切さや人と人とのつながりがあまりにもおろそかにされていることに強い危惧を感じざるを得ません。
 戦後推し進められた民主化は、権利意識を育み、個人を尊重し、自由な社会をつくるという国民感覚を醸成してきましたが、一方で、自己の利益のみを追い求める行き過ぎた個人主義が、倫理感や道徳心、思いやりの心を希薄にしました。物質的な豊かさを追い求めるあまり、心の豊かさを実感できなくなっている人も多いのではないでしょうか。
 また、急速な都市化は、自然を畏れ敬い、命の重みを感じる機会を奪いました。農村から都市への人口流入とともに、家族の形が多世代同居から核家族へと変化して、家庭のもつ機能の低下をもたらしました。
 さらに、高度経済成長の進展は、人々の働き方を変え、日本社会の一億総サラリーマン化を生みだしました。家庭と職場が切り離されて、生活環境が皆同じようなものになりました。生活スタイルの似通った家族が住み、働く人の姿が見えない街、行き過ぎたゾーニングによる均質な地域とも相まって、一律で画一的な価値観が広がり、僅かな差異に悩み異質な存在を許さない不寛容な風潮が蔓延しています。
 人間として生きていくうえで大切な家族のきずな、地域全体で助け合うしくみなど、私たち一人ひとりが、人として、社会の一員として、共に守るべき行動規範や大切な価値観が失われようとしているのではないでしょうか。
 今、わが国は、少子高齢の本格的な人口減少社会を迎えつつあります。総人口は既に減少局面に転じており、50年後には9千万人を下回ると予測されています。兵庫県でも、2010年の562万人を最高に、その後は人口が減少していくものと見込まれます。既に、急速な人口減と高齢化により消滅の危機に直面するいわゆる限界集落が生じるなど、人口減少の課題が顕在化しつつあります。
 また、少子化と高齢化の急速な進行により、世界的にも例を見ない早さで人口構造が変化しており、本県でも既に、高齢者の数が子どもの数を上回っています。医療や介護など社会保障費の増大、労働力の減少などが、社会の持続的な発展に影響を及ぼすことが懸念されます。
 それだけに、人が人として尊重され、暮らしの中に生きがいを実感できる社会、子どもから高齢者まで、すべての人々がもてる力を存分に発揮し、互いの生き方を認め自らの生き方を選択できる社会を実現しなければなりません。
 しかしながら、そのことは勝手気ままな行動が許されることではありません。命のつながりで結ばれた家族、心の通い合う人間関係で築かれた地域社会があってこそ、はじめて個人が輝き、生かされるのです。こうした大切なものはいつも身近なところにあります。そのことをしっかりと認識しながら、私たちは、主体性と責任感をもって行動する人々が連帯してつくる多様な共生社会を築いていくべきではないでしょうか。
 兵庫県では、かねてより、生活の科学化や生活の文化化、生活創造を推進し、さまざまな県民運動の展開を支援するなど、県民生活重視の県政を推進してきました。そして、震災の経験と教訓を生かし、継承していくとともに、地域社会の共同利益の実現と県行政の推進の両面で県民の参画と協働を進めてきました。こうした兵庫だからこそ、県民一人ひとりが主役となって地域づくりを進め、豊かな成熟社会を先導する力を有しているといえます。
 戦後まもなく生まれた団塊世代の人々が、順次60歳の定年を迎え、地域での新しい生活を始めます。積み重ねた知識や経験を生かし、地縁や同好の場で活躍する人も多いでしょう。また、本県の出生数は、昨年、対前年比で3.4%増加し、長年の減少傾向に歯止めがかかることが期待されます。兵庫の未来への明るい兆しと受け止めたいと思います。
 今こそ、もう一度参画と協働の理念に立ち返り、県民みんなで夢とビジョンを確かめ合いながら、新しい共同社会の構築に取り組むときです。個性と多様性が生き、共生と連帯で支える地域社会をめざそうではありませんか。


【県政の基調】
 広大な県土のもと、神戸阪神、丹波、但馬、播磨、淡路の五つの地域ごとに独自の歴史と文化、自然や風土を有する兵庫は、多彩な魅力に溢れています。多様性と個性こそが兵庫の強みです。時代を先取りし創造する進取の気性、わが国の国際化、近代化の先駆けとして発展し、今また、防災減災や環境保全など、地球規模の課題解決に貢献する開明性、大震災の苦難を助け合いで支えたボランタリー精神の蓄積、世界水準の技術を誇るものづくり産業の厚み、豊かな感性が育む質の高い文化力、さまざまな国籍の人々が共に暮らす多文化共生など、多くの兵庫らしさは私たちが共有する財産です。
 一方、三位一体改革における地方交付税の大幅削減により、多くの地方公共団体は大変厳しい財政運営を強いられています。この間の税収の増加は大都市部に集中しており、人、モノ、金、情報の東京一極集中と相まって、都市と地方との財政格差が拡大しています。
 また、本県においては、震災により県税収入が大幅に減少するなかで、2兆3千億円にのぼる復旧復興事業を推進するため、基金や県債を活用せざるを得ず、そのことは、今なお県財政の運営に大きな影響を及ぼしています。今後も、国、地方を通じて大変厳しい財政状況が続くことが見込まれるなかで、県民福祉の一層の向上を図るためには、「量」から「質」へ、「つくる」から「つかう」へ、「官主導」から「公民協働」へ、行財政構造を持続可能なものへと転換しなければなりません。
 新しい兵庫づくりのステージを歩み始めた今こそ、たゆまぬ努力と改革に取り組むなかで、兵庫らしさに一層の磨きをかけ、元気な兵庫づくり、一人ひとりが充実感をもっていきいきと暮らす、質の高い生活の実現をめざすときです。
 こうした基本的な考えのもと、新年度は、震災復興を乗り越え、元気な兵庫への飛躍をめざして、次の4つを基調として、意欲的に県政を推進します。

 その第一は、元気な兵庫の創出です。
 元気こそが未来を拓く原動力です。人の元気、産業の元気、地域の元気、社会の元気で、元気な兵庫を創出します。
 第二は、安心な兵庫の確保です。
 健康づくりや総合的な少子対策、環境優先の社会づくりなど、元気な兵庫をソフトの制度面から支える安心基盤を確保します。
 第三は、安全な兵庫の構築です。
 防災減災対策やくらしの安全対策、交流連携基盤の強化など、安全な兵庫をつくるハードの社会基盤を構築します。
 第四は、信頼の兵庫の確立です。
 分権社会における新たな自治の姿を見極めながら、県政における説明責任の徹底と透明性の確保を図り、県民に信頼される県政を確立します。

 今後とも、参画と協働を基本姿勢として、県民本位、生活重視、現場主義の県政を推進し、県民生活の質の向上を図り、未来を拓く活気に満ちた「元気な兵庫」、「美しい兵庫」をめざしていきます。

 これより、新年度の重点施策について説明します。


【元気な兵庫】
 その一は、「元気な兵庫」の創出です。
 何よりも元気の源は「人の元気」です。

(環境学習等の推進)
 いじめによる自殺をはじめ、命をおろそかにする出来事が多発しています。子どもたちが、命の営みやつながりを学び、命の大切さを自ら実感できる機会をもつことが必要です。
 このため、人格形成の初期の頃から、自然体験を基本とする環境学習を進めます。
 幼児期には、動物や花木に触れる自然体験を行う「ひょうごっこグリーンガーデン」を実施するとともに、学齢期には、小学5年生の自然学校に加え、低学年の小学3年生全員を対象とする環境体験事業を行うなど「ひょうごグリーンスクール」を進めます。あわせて、NPOや地域団体等が子どもの環境学習を支援しつつ、自ら環境保全に取り組むグリーンサポート事業を展開します。また、播磨科学公園都市に開設する「エコハウス」(仮称)や県立母と子の島を再編した「県立いえしま自然体験センター」(仮称)などの学習拠点を整備します。
 体験教育の推進としては、中学1年生の芸術体験「わくわくオーケストラ教室」、2年生の社会体験「トライやる・ウィーク」、高校1年生の地域貢献活動や2年生の就業体験に取り組みます。

(いじめ総合対策の推進)
 いじめ問題については、いじめの早期発見と早期解決、悩み解消を図ることが先決です。24時間ホットラインや悩み相談センターを設置するとともに、児童生徒の問題行動に対処する学校支援チームを各教育事務所に配置するほか、地域との協働によりいじめ防止に取り組むモデル事業を実施します。
 子どもたちのこころの問題に対応するため、全公立中学校と拠点小学校、全県立高等学校にカウンセラーを配置します。また、保健、医療、教育等の関係機関が連携して相談窓口の広報等を行う「ひょうごユースケアネットひきこもり対策」を実施するほか、青少年団体等のノウハウを活用して体験学習やふるさと体験留学などを行う「青少年いきいき体験事業」、同世代の仲間づくりを助ける「若者ゆうゆう広場」事業などを推進します。

 次は、学校教育、地域教育の充実です。

(学校教育等の充実)
 児童生徒の発達段階に応じた教育を進め、能力や個性を伸ばすため、小学校における35人学級編制を3年生まで拡大します。
 また、小中学校における読書活動や総合的な理数教育、郷土を題材にした実践的な道徳教育を推進します。さらに、県立高等学校における日本史教育を充実するため、科目「日本の文化」による授業を全県展開します。また、高校生が匠の技を習得する「ひょうご匠の技」探求事業や、団塊世代等の専門的知識に学ぶ「ひょうごの達人」招聘事業など、職業教育を充実します。
 地域の人々やふるさとの先輩に学ぶ「いきいき学校」応援事業やふるさと文化いきいき教室など、地域で育む教育を推進します。
 盲、聾、養護学校について、複数の障害種別に対応した教育を実施できる特別支援学校に改称し、計画的な整備に着手するほか、小学校のスクールアシスタントと学校生活支援教員の配置を拡充します。

(県立大学の充実)
 県立大学では、この2月1日、姫路書写キャンパスに開設した産学連携共同実験棟において、大学発ベンチャーをはじめ新規起業を支援するとともに、世界に通用する国際的最先端研究を推進します。さらに、西日本の国公立大学で初めての会計専門職大学院と環境人間学研究科の共生博物部門を開設するほか、管理栄養士養成課程の設置準備を進めます。また、附属高校にいたる中高一貫教育を行う中学校を開校します。

 次は、芸術文化、スポーツの振興です。

(芸術文化の振興)
 開館3年目を迎える芸術文化センターでは、芸術監督プロデュースオペラ「魔笛」や12年ぶりの来日公演となる「バーミンガム・ロイヤル・バレエ」など、質の高いプログラムを提供するとともに、ワンコイン・コンサートなど芸術文化を身近に楽しめる普及事業を実施します。また、センター管弦楽団の公演も巡回公演を含め一層の充実を図ります。
 県立美術館では、開館5周年を記念して「ロダン創造の秘密展」や「ムンク展」などを開催し、兵庫陶芸美術館では、「兵庫の陶芸」展やa平焼展などを実施し、県民の文化ニーズに応えます。
 また、県民が交流し、新しい学び場となる「交流博物館」をめざし、県立歴史博物館が4月にリニューアルオープンします。兵庫の歴史文化の再発見をテーマに特別展等を開催します。古代のロマンを訪ねる参加体験型の博物館として今秋開館する「県立考古博物館」(仮称)では、開館記念事業や県内博物館等のネットワークによる巡回展を実施します。県立人と自然の博物館では、「ファーブル100年展」の平成20年度開催に向けた準備や、丹波市で発見された恐竜化石の本格的な発掘と活用方策の検討を進めます。
 このほか、親子で楽しむひょうご寄席の開催など伝統文化に親しむ機会を増やします。

(県民スポーツの振興)
 のじぎく兵庫国体とのじぎく兵庫大会の成果を継承、発展させ、県民スポーツの振興を図るため、「はばタンスポーツ基金」を創設します。全日本規模の競技大会の運営や障害者スポーツ全国大会への選手派遣などを支援します。また、継続的な選手強化や指導者養成に取り組みます。競技人口の裾野を広げるため、国体出場者による小学生スポーツ教室の実施や中高等学校における運動部指導の充実を図ります。また、グランドゴルフやゲートボールなど「ひょうご生涯スポーツ大会」を開催するほか、中年期のスポーツ実践プログラムの開発と普及を図ります。
 障害者スポーツについては、これまでの身体、知的、精神ごとの障害者の大会を統合し、「障害者のじぎくスポーツ大会」として拡充実施します。だれもが参加できる「障害者スポーツフェスティバル」を開催するとともに、「障害者スポーツボランティアバンク」を創設します。
 県民スポーツの拠点として、本年秋に、県立三木総合防災公園に屋内テニス場を開設し、また、体育館の整備を検討するほか、県立淡路佐野運動公園屋内運動施設の整備を進めます。

 元気の第二は、「産業の元気」です。

(成長産業の創出)
 戦後最長となる景気拡大が続くなか、本県の経済も、設備投資や輸出、生産などが堅調に推移し、雇用面でも新規求人数の増加が続くなど、緩やかに拡大しています。中小企業の設備投資意欲も旺盛です。この基調をしっかりと掴み、持続的成長と多様で安定した雇用就業を実現するため、「ひょうご経済・雇用再生加速プログラム」の仕上げに全力を注ぐとともに、次期プログラムを策定して戦略的な対策を推進します。
 このためにも、企業や大学、研究機関等の集積を生かして成長分野の産業創出を進める「ひょうご産学集積群(クラスター)」の形成をめざし、ナノバイオ、次世代ロボットなど次世代の新産業につながる産学官の共同研究を進めます。また、産業集積条例に基づき新規地元雇用や設備投資に対する支援を行い、県内投資を促進します。
 さらに、先端高度機器を備えた新研究棟の整備など県立工業技術センターの機能強化を図るほか、兵庫県COEプログラムを推進するなど、成長分野での新事業創出をめざします。

(科学技術・情報技術の振興)
 大型放射光施設の利用ニーズの高度化に対応して、県専用ビームラインの機能を強化するほか、ニュースバル新ビームラインの設置や「放射光ナノテク研究所」(仮称)の開設により、放射光の産業利用を促進します。
 情報通信については、「ひょうご情報交流戦略」(仮称)のもと、次期情報ハイウェイの整備やカーネギーメロン大学日本校による高度情報セキュリティ人材の育成を推進するとともに、県内への情報関連企業の立地を促進します。また、過疎地における携帯電話不感地区の解消に努めるほか、地上デジタル放送受信の円滑な環境整備について検討します。

(ものづくり産業の振興)
 兵庫の強みである「ものづくり」の力をさらに高めるため、ものづくり体験の場の提供や技術、技能を担う人材育成、専門家の養成を行う「ものづくり大学校」(仮称)の整備を平成21年度の開設をめざし進めます。また、この先行事業として、即戦力となる技能者育成をめざす未来の匠育成事業や兵庫のものづくりを広くPRするものづくり技能フェスタの開催、しごとツーリズムバスの運行等に取り組みます。
 平成20年度に開催される「第25回全国菓子大博覧会・兵庫」は、兵庫らしく和菓子、洋菓子の総合博覧会として、「第25回技能グランプリ兵庫大会」(仮称)とともに開催準備を進めるほか、春秋の神戸コレクションを中心にさまざまなイベントを展開する神戸ファッションウィークを開催します。

(中小企業の経営革新)
 頑張る中小企業を応援するため、ひょうご産業活性化センターに学習支援や交流機能を備える「ビジネスプラザひょうご」(仮称)を整備し、経営支援の知識と経験のある総合相談ナビゲーター、企業間連携を支援する産産連携担当マネージャーを配置します。
 中小企業金融については、融資目標額3,300億円を確保するとともに、本年度創設した設備活性化貸付に加え、経営活性化資金や企業再生貸付の使途に設備を追加するなど、設備対応資金を拡充します。このほか、貸倒リスクの一部を県が損失補てんすることにより、金融機関が無担保、第三者保証人なしで融資するチャレンジ企業応援融資制度など地域金融支援の融資制度を拡充し、全体として800億円の目標額を確保します。

(多様な就業の促進)
 雇用就業を取り巻く環境変化を踏まえ、県の取組み方向等を明らかにするため、有識者や労使の代表者等で構成する「兵庫県雇用政策懇話会」(仮称)を設置します。また、若年者の安定雇用を図るキャリアアップ支援や人材育成、若者しごと倶楽部でのきめ細かな相談支援に加え、関係機関連携の支援体制として「ニート対策ひょうご支援ネット」を構築します。団塊世代の大量退職等を見据え、在職時からの啓発や就業、起業相談など「生きがいしごとサポートセンター」の機能を強化します。

 次は、農林水産業の振興です。

(品目横断的経営安定対策等への対応)
 多様な「農」の地域での展開をめざし、国の農政改革など社会情勢の変化を見極めながら、「ひょうご農林水産ビジョン2015」の実現に向けた総合的な取組みを進めます。
 平成19年度より、国の農業施策が、すべての農業者を対象とする品目ごとの対策から、担い手支援に重点を置いた品目横断的経営安定対策へと大きく転換されます。こうしたなか、小規模農家が多い本県では、認定農業者対策とともに、集落営農組織を加速的に育成することが喫緊の課題となっています。このため、市町や関係団体と連携し、3年以内に国の新対策に対応するための集落単位のプログラム作成や共同利用機械の整備等を支援するとともに、麦、大豆農家の生産意欲の向上と所得確保を図るための助成制度を創設します。また、こうした取組みにあわせ、集落営農や認定農業者を中心に、農地や農業用水等の保全向上に取り組む地域の共同活動を支援します。
 但馬牛の改良や淡路地域における繁殖経営サポート施設の整備など畜産振興に努めます。

(楽農生活、地産地消の推進)
 兵庫楽農生活センターを拠点として就農や生きがい農業等の技能習得を支援するとともに、都市周辺での市民農園整備に努めるほか、団塊世代や中高齢者の帰農、就農を応援する駅前講座や農村シニアカレッジ等を開設します。
 また、直売所の設置促進や農産加工グループの育成、各地域で行われる農業者等の交流活動への支援などにより、都市と農村の交流、地産地消の促進を図ります。

(新ひょうごの森づくりの推進)
 森林管理100%作戦や森林ボランティア育成1万人作戦など県民総参加で取り組む「新ひょうごの森づくり」を推進するほか、県産木材の利用拡大をめざし、県産材を利用した木造住宅への低利融資や、マンション事業者等への普及促進等に取り組みます。また、県産木材供給センターの平成22年度運用開始に向けた検討を進めます。

(水産業の振興)
 水産資源の拡大と水産物の安定供給を図るため、播磨灘中西部において、天然の好漁場である鹿ノ瀬に匹敵する大規模な漁場整備構想を推進するとともに、ノリの色落ち防止に取り組みます。処理責任が明確でない海域ごみを漁業者が回収処理する場合の支援制度を創設します。

 元気の第三は、「地域の元気」です。
 まず、快適空間の創出です。

(美しい県土づくり)
 多自然地域への定住促進をめざし、NPO等活動団体のネットワーク化を図るとともに、地域団体等による都市住民向け菜園付き住宅や一時滞在施設等の整備を支援するほか、古民家再生を促進します。
 また、県民局ごとに「美しい県土づくり戦略プラン」(仮称)を策定し、個性を生かした景観づくりを重点的に進めるとともに、住民団体等が行うまちなみ緑化など花と緑のまちづくり実践活動を支援します。
 西播磨と丹波で地域景観マスタープランを策定するほか、「快適空間の創造」をテーマに日本文化デザイン会議をこの秋に開催し、ふるさとの美しさや文化を全国に発信します。
 景観の形成等に関する条例を改正し、景観を著しく阻害している土石採取跡地や資材置き場等について所有者等に修景を求めます。

(中心市街地の活性化)
 中心市街地の活性化については、広域土地利用プログラムに基づき、大規模商業施設の適正立地を図るとともに、再開発ビルのリニューアル等を引き続き支援します。また、郊外型大型店の出店により影響を受ける商店街が行う地域連携イベントなど再活性化の取組みを支援します。
 市町合併等を踏まえた都市計画区域の再編検討や広域都市計画基本方針(仮称)の策定に取り組むとともに、老朽化が進む明舞団地においてコミュニティ再生等に重点を置いたリニューアルを進めます。

 次は、魅力ある地域づくりです。

(魅力ある地域づくり)
 広い県土を舞台に地域の個性を生かす多彩な取組みを進めます。
 昨年国立公園編入50周年を迎えた六甲山で「自然公園ふれあい全国大会」(仮称)を開催するとともに、但馬地域の公園のあり方検討や生野鉱山から飾磨港にいたる銀の馬車道プロジェクト、但馬の旧鉱山をつなぐ「鉱石の道」の魅力発信など、自然や歴史文化を生かした地域づくりに努めます。
 また、環境共生型のまちづくりをめざす尼崎21世紀の森を推進するほか、いなみ野ため池ミュージアム構想、高砂みなとまちづくり構想、西播磨「水と緑の郷づくり」構想、淡路島まるごとミュージアム構想など、特色ある地域づくりを進めます。播磨科学公園都市と潮芦屋では、まちびらき10周年の記念イベントを開催します。
 このほか、「県立丹波並木道中央公園」を開園するとともに、野外CSR施設「宝塚西谷の森公園」(仮称)の整備や県立フラワーセンターのリニューアル、あわじ花さじきの施設の充実に取り組みます。

 次は、交流人口の拡大です。

(ツーリズムの振興)
 人口減少社会を迎えるなか、交流人口こそが、定住人口の減少を克服して、地域の生活や経済に豊かさをもたらす重要な指標になります。このため、新年度は、「ひょうごツーリズムビジョン後期行動プログラム」に基づき、ひょうご観光大使「はばタン」をフル活用しながら、多様な資源を生かしたツーリズム振興に取り組みます。
 集客、交流サービス事業の創出など地域ぐるみの観光地活性化事業や、そば打ち、歴史文化の探訪など体験型観光プログラムの開発に取り組む団体を支援します。また、映画等のロケ地をツーリズム資源として活用するため、昨年8月に設置した「ひょうごロケ支援Net」を本格展開するほか、中国からの訪日教育旅行誘致など海外からの誘客促進を図ります。走る県民教室の見学先に県や市町が主催する体験型イベントを追加するなど、県民交流バスを充実します。

(国際交流の推進)
 国内初の開催となる第9回世界華商大会を神戸市、経済界、華僑団体と連携して支援し、記念イベントや孫文特別展などの盛上げ事業を実施します。また、友好提携25周年を迎える広東省との交流を一層深めるため、代表団の相互派遣や広東交流展などを実施するほか、兵庫、大阪、京都の3府県知事による中国向け投資促進等のプロモーションを展開します。さらに、旧神戸移住センターを移住の歴史の発信や在住外国人支援、交流の拠点として活用するため「海外日系人会館」(仮称)の整備を支援します。
 2008年関西サミットについては、引き続き、京阪神3都が一致協力して、誘致に取り組みます。

 元気の第四は、「社会の元気」です。

(地域協働の取組み支援)
 団塊世代は、地域の新しい力です。社会の元気づくりの担い手となることを期待し、フォーラムや実践活動事例の紹介等を通じて、さまざまな地域活動への参画を促します。県民交流広場事業の実施地域を拡充し、県民の主体的な実践活動や交流を支援するとともに、インターネット上の新しいコミュニティと言われるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した地域参画システムの可能性を検討します。また、シニア世代における学習意欲の高まりに応えるため、今後の生涯学習体制のあり方について検討します。

(ボランタリー活動の推進)
 国体等を通じて実践の輪が広がったボランタリー活動の定着を図るため、「のじぎくボランタリーネット」(仮称)を創設して、イベントや災害救援のボランティア募集等の情報を提供するほか、社会貢献活動に取り組む企業の顕彰制度を創設し、地域づくりに生かします。


【安心な兵庫】
 重点施策の第二は、「安心な兵庫」の確保です。

(出産・子育ての安心の確保)
 少子高齢化が進むなか、だれもが安心して子どもを生み育てることができる社会をつくらなければなりません。このため、「ひょうご子ども未来プラン」に基づき、各ライフステージに応じた総合的な対策に取り組みます。
 本年4月より、子どもの健康を確保し、安心して子育てができる環境を充実するため、乳幼児医療費助成の対象を通院、入院とも小学3年生まで拡大します。また、妊婦が安心して出産を迎えられるよう、妊婦後期健診への助成を行い、市町における前期の健診実施を促します。特定不妊治療の助成を拡大するとともに、周産期母子医療センターへの支援や院内助産所の整備促進など、周産期医療対策を進めます。
 このほか、ひょうご出会いサポート事業を県内各地域に広げるため、「こうのとり大使」を委嘱します。

(保育等の充実)
 一方、就学前の教育と保育を一体的に提供する認定こども園の設置促進と利用者負担の軽減を図るため、民間事業者に運営費の一部を助成するとともに、放課後こども教室と放課後児童クラブの連携によるひょうご放課後プラン事業を推進し、子どもの安全ですこやかな居場所づくりを進めます。あわせて3歳未満の乳幼児の児童手当を引き上げます。

(家庭の力の再生)
 人は家庭で生まれ、愛情や信頼など大切なことを家族と共に培っていくだけに、家庭の力を高めなければなりません。家族のきずなや家庭を支える地域の取組みについて考える「家庭応援フォーラム」(仮称)の開催、地域団体、企業、学校、NPO等による「ひょうご家庭応援推進協議会」(仮称)への支援などにより県民主体の取組みを進めます。また、子育て家庭を地域ぐるみで応援するため、まちの子育てひろばや子どもの冒険ひろば、ファミリーサポートセンター、子育てファミリー・サポートくらぶなどの取組みを充実するほか、阪神地域におけるこどもの館の整備に向け、基本計画を策定します。さらに、「子育て応援ネット」による子どもへの声かけや見守り活動等を促進するとともに、こども家庭センターを核として、市町や地域団体等と連携して児童虐待の防止に努めます。

(仕事と家庭の両立)
 仕事と家庭の両立については、出産、育児等により離職した女性のチャレンジ支援や、アドバイザー派遣等による中小企業の両立支援の促進、政労使の合意に基づく多様な働き方のモデル開発等に取り組みます。また、新婚世帯、子育て世帯の県営住宅優先入居枠の拡大など、子育てにやさしいまちづくりを進めます。

 次は、「健康ひょうご」の推進です。

(医療確保総合対策の推進)
 へき地等における深刻な医師不足に対処するため、神戸大学医学部に奨学金制度を創設するとともに、神戸大学、兵庫医科大学に加え、鳥取大学に特別講座を開設するほか、へき地等での勤務を希望する医師を県職員として採用して市町に派遣します。また、県医師会が行うドクターバンク事業を支援し、県内勤務医師の確保を図るほか、女性医師の再就業や子どもをもつ医師等の保育を支援します。公立病院や診療所の外来診療に開業医が出務協力するオープン外来を推進します。

(医療の充実)
 小児救急医療については、県立こども病院に「小児救急医療センター」(仮称)を開設するとともに、電話相談の受付時間を延長するほか、阪神北圏域3市1町の1次救急医療を担う「阪神北広域小児急病センター」(仮称)の整備を支援します。
 県立成人病センターを「県立がんセンター」に名称変更し、がん医療にかかる機能を強化するとともに、県内10カ所のがん診療連携拠点病院を中核とした診療ネットワークを構築し、医療水準の均てん化を図るほか、緩和ケアの提供体制を充実するなど、総合的ながん対策を推進します。新型インフルエンザ対策に万全を期すとともに、エイズ医療体制の整備などに取り組みます。
 国の医療構造改革に適切に対応するため、医療費適正化計画や地域ケア整備構想の策定などを行います。新加古川病院の整備を進めるとともに、県立淡路病院の建替整備について、基本計画を策定します。

(健康づくりの推進)
 生活習慣病や介護の予防など健康づくりを進めるため、「健康マイプラン100万人運動」を推進するとともに、市町、健康保険組合等による受診率向上の取組みを支援します。県庁舎の建物内禁煙を実施します。

(食の安全・安心の確保)
 食の安全安心を確保するため、監視指導と食品検査を強化するとともに、県版HACCP認定制度の認定対象品目を拡大するほか、ひょうご食品認証制度の普及を図ります。また、正しい食習慣や食文化を学ぶ「食で育む元気ひょうご推進事業」や、学校におけるごはん給食、米粉パンの普及、20歳代を対象とした体験型教室「食育カレッジ」の開催など、家庭、学校、地域における食育を推進します。
 高病原性鳥インフルエンザについては、宮崎県、岡山県での発生事例 を踏まえ、野生動物等がウィルスを持ち込まないよう、石灰散布による 予防対策を講じるなど、防疫体制に万全を期します。

 次は、ユニバーサル社会づくりです。

(高齢者施策等の総合的推進)
 近く策定する「長寿社会プラン」(仮称)に基づき、高齢者支援の総合的な施策を推進するなかで、市町における地域包括支援センターの運営支援など、介護予防に向けた取組みを進めます。

(障害者の自立支援)
 障害者自立支援法の施行を受け、障害者が適切にサービスを利用し、地域で安心して暮らすことができるよう、国の特別対策に対応した基金を造成し、事業者に対する激変緩和措置や小規模作業所等への緊急支援を行うとともに、通所、在宅、障害児世帯にかかる利用者負担のさらなる軽減を行います。また、利用料減免等低所得者に配慮した県独自の支援を行うなど、障害福祉計画に基づき、障害者へのサービス提供体制を整備します。知的障害者の雇用機会の確保を図る県率先行動や応援企業登録制度の創設など障害者の就労支援に取り組むほか、専門職業紹介事業所の増設や県養成ジョブコーチの増員を図り、障害者雇用率1.8%の早期達成をめざします。
 総合リハビリテーションセンターでの小児リハ病棟等の整備や県立光風病院を基幹とした精神科救急医療体制の強化をはじめ、社会福祉施設や在宅サービス基盤を充実します。
LD、ADHD等発達障害の早期発見、早期支援と児童の円滑な就学を支援するため、関係機関の連携や相談体制を充実します。

(ユニバーサル社会づくりの推進)
 ユニバーサル社会の実現に向けた県民運動を展開するとともに、実践モデル地区の整備や公共施設のバリアフリー化を推進します。一方、専門相談や遺族に対するケアの充実など、自殺対策を総合的に推進するほか、無年金外国籍の高齢者、障害者に対する福祉給付金を充実します。福祉活動の拠点として、啓発、交流や人材育成等に取り組む県福祉センターの整備を進めます。

 次は、環境優先の社会づくりです。

(地球温暖化問題への対応)
 年々深刻化する地球規模の環境問題について、問題解決型から未然防止型への施策転換を図ることを基本に、新兵庫県環境基本計画を改定します。
 県民、事業者、行政が一体となった地球温暖化防止キャンペーンを3年間にわたって展開し、特に排出量に占める割合が大きい産業部門に対する指導強化や省エネ家電、省エネ行動等の普及促進など温暖化ガスの排出削減に取り組みます。また、県施設における太陽光発電設備の導入や省エネルギー化施設改修を進めます。

(廃棄物処理対策の推進)
 廃棄物対策では、市町と連携し、ごみの減量、リサイクルの普及啓発に努めます。県内の不法投棄量の大半を占める建設系廃棄物対策に重点を置いて条例を改正し、解体工事の発注者に対して、処分費用の適正負担等の責務を課すとともに、受注者等に廃棄物の引渡完了報告を求めるなど、規制を強化します。

(自然環境の保全と再生)
 自然環境の保全と再生をめざす先導的な取組みを推進し、全国に発信します。平成22年の本格放鳥に向け、コウノトリの野生復帰の取組みを進めるとともに、コウノトリ自然博物館構想を推進します。
 豊かで美しい瀬戸内海の再生に向け、これまでの水質保全だけでなく、水産資源の回復や廃棄物の適正処理、自然と親しむ機会の提供等を進めるため、必要な法整備の実現をめざし、瀬戸内海環境保全知事・市長会議において百万人の署名活動を展開しています。ご協力をお願いします。また、播磨灘沿岸域の干潟等自然の再生を図るモデル的な取組みに着手します。

(農のゼロエミッション等の推進)
 たい肥を活用した土づくりや農薬、化学肥料に頼らない農業技術の普及を促進するとともに、間伐材や食品残さなどのバイオマス資源を活用する「農のゼロエミッション」を推進します。また、資源作物となるナタネ、多収量品種米の実証栽培やバイオディーゼル燃料の活用、菜の花エコプロジェクトなど、地域での環境優先の取組みを進めます。

(野生動物との共生)
 アライグマやヌートリアなど特定外来生物による被害防止や特定外来魚の早期駆除に取り組むほか、サルの追い払い対策等を支援します。野生動物の生息地管理や個体数管理、被害管理を総合的、科学的に進める拠点施設として、「森林動物研究センター」を開設します。

【安全な兵庫】
 重点施策の第三は、「安全な兵庫」の構築です。
 まず、総合的な防災減災対策の推進です。

(東南海・南海地震対策の推進)
 東南海・南海地震への備えに万全を期すため、「ひょうご防災戦略プログラム」を策定し、地震・津波対策を推進します。
 災害時の拠点となる公共的な建物などの耐震化目標を92%に設定し、県有施設や病院、学校、福祉施設等の耐震化を急ぐとともに、簡易耐震診断やわが家の耐震改修促進事業、耐震化促進のための住宅リフォームへの支援を行います。また、建物の構造計算適合性を判定する機関を設置するなど構造審査の厳格化を図ります。
 一方、津波対策では、南あわじ市において、水門等の遠隔操作や情報提供等の機能を備える津波防災ステーションを整備するほか、海岸保全施設の耐震対策や阪神南地域における広域防災拠点の整備を進めます。
 住宅再建共済制度については、10万戸の加入を達成しましたが、加入率は5.7%に止まっています。今後とも、この制度が震災の教訓を踏まえた相互扶助のしくみであり、自然災害への備えであることの理解を求め、加入促進に努めます。

(水害土砂災害対策の推進)
 大規模化する風水害に備え、治水安全度を高める河川改修や堤防強化を推進するとともに、ハザードマップの普及や河川水位標の設置を進める一方、都市の浸水対策に取り組みます。武庫川水系の河川整備については、基本方針等の策定に向け、流域対策や既存ダム活用方策の調査、武庫川渓谷の環境調査を引き続き実施するとともに、武田尾、リバーサイド地区の緊急治水対策を進めます。また、風倒木被害地の治山対策を急ぐほか、県民緑税を活用して、緊急防災林、針葉樹林と広葉樹林の混交林、里山防災林、野生動物育成林を整備する「災害に強い森づくり」を集中的、計画的に推進します。

(震災復興のフォローアップ)
 震災復興については、被災地固有の課題解決に向けた重点的な取組みとともに、復興の成果を県政全般に反映させ、震災の経験と教訓を一人ひとりが共有する社会づくりを進めなければなりません。このため、「復興の成果を県政に生かす3か年推進方策」に基づき、きめ細かなフォローアップを進めます。
 災害復興公営住宅を拠点に常駐型の見守り活動等を行う「高齢者自立支援ひろば」の開設やまちのにぎわいづくり一括助成などに取り組むとともに、こころのケア対策や「まちの保健室」など、復興過程で生まれた先導的な取組みの定着、発展を図ります。
 また、震災10周年を機に全県組織として発足した「ひょうご安全の日推進県民会議」のもとで、地域団体や県民、企業、行政などさまざまな主体が行動する「防災力強化県民運動」に取り組みます。
 本年5月に国際協力機構(JICA)が開設する国際防災研修センターの運営を支援するとともに、国連の基金への拠出に加え、本年開設予定の国際防災戦略(ISDR)兵庫事務所(仮称)との連携等を通じて、国連防災世界会議で採択された「兵庫行動枠組」の推進に貢献します。設立から5年が経過する人と防災未来センター防災未来館の展示内容を更新し、内外への発信機能を充実します。

次は、くらしの安全対策の推進です。

(くらしの安全対策の推進)
 昨年制定した地域安全まちづくり条例のもと、7割以上の自治会の区域でまちづくり防犯グループが結成されるなど地域ぐるみの安全対策が進んでいます。グループ結成の促進や地域安全まちづくり推進員の設置促進等に、推進計画に基づき取り組みます。また、犯罪被害者を支援する団体が行う相談や啓発などの活動を応援します。
 消費生活に関するさまざまな苦情相談に応じる「くらしの安全・安心サポート体制」を強化するほか、尊い命を交通事故から守るため、「飲酒運転を許さない兵庫づくり」を進めます。

 次は、交流と連携の基盤づくりです。

(道路整備の推進)
 県土の骨格を形成する高速道路として、第二名神高速道路、中国横断自動車道姫路鳥取線、北近畿豊岡自動車道や鳥取豊岡宮津自動車道等の整備を促進するとともに、大阪湾岸道路西伸部の事業化や播磨臨海地域道路等の具体化に向けた取組みを進めます。
 また、市町合併後のまちづくり支援や都市近郊地域の交通円滑化のための道路整備、利用者の視点に立った生活道路の緊急整備など、暮らしに身近な交通基盤づくりを進めます。

(公共交通の利便性向上)
 公共交通の利便性向上に向け、軌道改良や新型車両の導入などJR姫新線の高速化に沿線住民の協力を得て取り組むほか、余部橋梁架替工事の着手にあわせ、「余部鉄橋利活用検討会」の提案を踏まえた現橋活用計画の具体策を検討します。また、地域住民の足となる生活交通バスの路線確保を図ります。

(ストックの活用)
 既存ストックの有効活用を図るため、渋滞交差点の解消、既存歩道の段差解消など、「つくる」から「つかう」プログラムを推進するとともに、公共事業のスピードアップをめざし、県道改築事業をモデルに「5年完成システム」を導入します。
 このほか、本年8月の関西国際空港第2滑走路の供用開始を機に、関西、大阪、神戸の三空港相互の連携強化や利用促進を図るとともに、但馬−羽田直行便の実現に向けた取組みを進めます。


【信頼の兵庫】
 重点施策の第四は、「信頼の兵庫」の確立です。

(長期ビジョンのフォローアップ)
 県民主役、地域主導で兵庫の将来像を描いた「21世紀兵庫長期ビジョン」の策定から6年が経過しました。県人口が減少局面に入り、高齢者が増加するなかで、家族や地域コミュニティの再生、次世代の育成など、人口減少社会におけるさまざま地域課題をしっかりと見据え、県民の参画と協働のもとで新しい地域像を描くための取組みを進めなければなりません。
 このため、時代潮流の調査研究を通して、人口減少下の地域イメージを明らかにするとともに、地域夢会議や地域の元気づくりシンポジウム等を通じ、各地域において、参画と協働を基本に幅広く議論を進めます。

(入札契約制度の改善)
 透明で公正な県政を堅持して、県民の信頼に応えていかなければなりません。建設工事にかかる入札契約制度について、公正な契約手続きを確保するため、公募型一般競争入札の対象工事の拡大や制限付き一般競争入札を新設するとともに、総合評価落札方式の拡充などにより、工事の品質確保を図ります。また、入札監視委員会による監視機能を強化するとともに、入札、契約情報の透明性を確保します。

(庁内自治の確立)
 若手職員のユニークなアイディアを県政に反映するため、提案者自身が事業化に参画する職員提案事業化テストを導入するほか、職務遂行能力の向上が必要な職員への特別支援プログラムを実施します。
 このほか、広報活動では、大学生と協働で若者向け雑誌の紙面制作を行うほか、「はばタン」を活用した県政広報テレビ番組を放送します。

(地方分権改革の推進) 
 昨年12月に地方分権改革推進法が成立しました。本年4月には、政府の地方分権改革推進委員会が設置され、国と地方の役割分担の見直し等の議論が本格化します。全国知事会や県自治体代表者会議等との連携のもと、分権社会における新たな自治の確立をめざし、国から地方への権限と財源の移譲や、地方税財源の充実を強く求めていきます。
 道州制については、その必要性や目的、内容等が明確でないまま、市町村合併の次は道州制というムードや、地方分権の推進ではなく行政改革のためといった論議が先行しています。このため、全国知事会において、本年1月、「道州制に関する基本的な考え方」を取りまとめ、道州制検討にあたっての課題を提示しました。今後も、政府における道州制ビジョンの検討動向を踏まえ、分権型社会にふさわしい広域自治体のあり方について検討を深めます。
 あわせて、県と市町の新たな関係構築の具体化を図るほか、関係自治体、経済団体とともに、関西における広域連合の設置検討や既存の広域連携組織の統廃合に向けた取組みを進めます。


【行財政構造改革の推進】
 これまで、阪神・淡路大震災後の厳しい行財政環境のもとで、フェニックス計画に基づく創造的復興をめざし、震災からの復旧復興を重点的に推進してきました。県財政としても、平成11年度から20年度までの10年間にわたる「行財政構造改革推進方策」の財政フレームを定め、起債制限比率が15%台を超えることのないよう、財政運営を行ってきました。
 しかし、税収の伸び悩みと地方交付税の大幅な削減等により、想定した財政フレームの見込み以上に収支不足が生じてきたのが実情です。
 このため、さらなる県債の追加発行や県債管理基金の活用等に加え、退職手当債の発行、公営企業会計からの借入という特別の対策を講じざるを得ない状況になっています。
 こうしたなか、新年度の本県財政は、県税収入について、国から地方への税源移譲のほか、引き続き好調な企業業績等を反映してかなりの増収が見込まれるものの、税源移譲に見合う歳出があること、地方交付税が地方財政計画における歳出抑制や過去の算定における精算減等により、税収増に連動して減額となる以上に減少すること、さらに、市町への税交付金が税収に伴い増加するため、実質的な税収増にはつながっていません。一方、福祉関係経費や退職手当、公債費などの義務的経費が増嵩することから、収支不足が前年度よりも拡大し、大変厳しい状況となっています。
 このため、予算編成においては、費用対効果、民間と県、市町と県との役割分担、民間活力の導入、税源移譲事業の再検証、継続事業の必要性の6つの視点から、行財政全般にわたる抜本的な見直しを行い、不要不急の事業を廃止、中断するなど、1,634事業、285億円の整理合理化を図り、施策の選択と集中に精力的に取り組みました。
 しかしながら、スクラップアンドビルドを徹底しても、なお解消できない収支不足に対応するため、退職手当債の増額や県債管理基金の一時借用を行うとともに、県債発行の抑制を図りつつ、資金手当債を追加発行するといった対策を講じました。
 また、新たな公債費管理の指標として実質公債費比率が設けられました。本県は、震災復興や財源不足対策に地方債の追加発行や県債管理基金の活用を行ってきたことから、平成17年度決算での数値が19.6%と全都道府県中ワースト3となっており、このままでは、25%を超え、起債が制限されることになりかねません。
 したがって、当面、県債管理基金の増強を図る必要があります。このため、県保有の特定目的基金と県関係団体が県の支援により造成した基金等について、これらの基金が事業の実施を担保してきた趣旨を今後も持続させながら、県債管理基金に積み立てます。
 これにより、基金の残高不足を回復させ、実質公債費比率の抑制を図るとともに、県と県関係団体の基金を一体化して、効率的、安定的な運用ができるようにします。

(組織、定員、給与等の見直し)
 政策課題の多様化、複合化等に対応した簡素で効率的な組織体制を整備しなければなりません。職員の定員について、法令の配置基準に基づく法定教員、警察官は増員となりますが、一般行政部門において165人の削減を行うなど適正配置を図ります。特別職の給料と期末手当、管理職についての現行の減額措置を継続するとともに、職員の給与水準の一層の適正化に努めます。

(さらなる行財政構造改革の推進)
 今後とも厳しい行財政環境が続くなかで、将来にわたって県民の要請に的確に対応していくためには、さらなる改革に全力をあげ、新たな行財政運営の枠組みを構築していかなければなりません。
 このため、本年4月より、県政を取り巻く環境変化等を踏まえつつ、組織、定員、給与、行政施策等行財政全般にわたる総点検を行い、年度後半からは、県議会をはじめ県民や有識者等から幅広い意見をいただきながら、ポスト行財政構造改革推進方策の策定に向けた検討を進めます。


【条例・事件決議】
 以上の方針のもとに編成した平成19年度の歳入歳出予算は、
一  般  会  計      「2兆 883億3,000万円」
特  別  会  計      「1兆3,058億3,700万円余」
公営企業会計歳入      「1,572億 600万円余」
  同     歳 出       「1,983億8,000万円余」です。

 次に、条例につきましては、産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例の一部改正など24件です。
 事件決議につきましては、公の施設の指定管理者の指定など10件です。

 以上で平成19年度の主な県政施策と諸事業の説明を終わります。

 「われわれは何処から来たのか、われわれは何者か、われわれは何処へいくのか」、タヒチを愛したフランスの画家、ポール・ゴーギャンは、タヒチの人々が自然の中で豊かに生活する姿を描くことにより、人類の行く末を訴えています。新しい兵庫づくりのスタートにあたり、このように、過去、現在、未来を見据え、しっかりとした、誤りのない県政を推進していかなければならないと、強く決意しています。
 議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。