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知事提案説明

平成29年第335回定例会 知事提案説明


 第335回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様の日頃のご尽力に敬意と感謝の意を表します。
 新年度予算など提出議案の説明に先立ち、今後の県政についての所信を申しあげます。
《新兵庫の創造》
【変化する世界】
 国際社会では、先行きの不透明感が高まっています。
 先月、米国で新政権が発足しました。アメリカ第一を掲げた政策転換が進んでいます。ヨーロッパでは昨年、英国がEU離脱を選択しました。長らく統合の道を歩んできた欧州で分裂の兆しが見え始めています。中国やロシアも独自の動きを強めています。
 突出したリーダーがいなくなった世界は不安定さを増し、テロも後を絶ちません。貧富の差が拡大し、対立を煽る攻撃的な言動が目立ってきています。社会は分断の色合いを深めています。
 一方で、経済のグローバルな結びつきは既に分かち難いものとなっています。人、物、資本が自由に動き回り、情報は瞬時に共有されます。
 私たちの生活は、こうした世界の動きから様々な影響を受けます。
 また、人工知能などの科学技術の発展や巨大災害の発生、気候変動なども社会に思わぬ変化をもたらします。

【変化への対応】
 このような世界を生き抜くために必要なのは、変化への対応力です。
 まず、想定外をなくす努力をしなければなりません。思い込みを排し、想像力を働かせて複数のシナリオを描いておく必要があります。
 さらに、いかなる事態が起ころうとも、変化を積極的に取り込み、したたかに柔軟に対応していかなければなりません。

【兵庫の道のり】
 兵庫が歩んできた道のりも、変化への対応の連続でした。
 150年前の1868年、明治維新と時を同じくして兵庫県が発足しました。当初は複数の飛び地を管轄する小さな県でしたが、8年後の1876年には、世界に開かれた神戸港の発展を支えるため、摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の五国からなる雄県兵庫が誕生しました。近代化の道を歩む社会の変化に対応するため、歴史文化、気候風土の異なる五国が一つになったのです。
 20世紀は、「欧米に追いつき追い越せ」と、日本が急発展を遂げた時期でした。兵庫も工業化と都市化に邁進しました。戦後の焼け野原からの復興とそれに続く高度経済成長期には、ものづくり産業の発展と進取の気性に富む人材の活躍で、その一翼を担いました。この間、開発による自然破壊や公害の問題にも立ち向かってきました。
 やがて日本が世界第2位の経済大国になり、従来型の成長の限界が見えてきた時期に、兵庫の転機となる阪神・淡路大震災が発生しました。
 創造的復興の取組の過程から、量より質、物より心の豊かさ、画一より多様、標準より個性を大切にする県政に舵を切ったのです。
 そして21世紀。成熟社会を迎える中で、本県は新たな県政への一歩を踏み出しました。これが、今につながる「参画と協働」の県政です。
 この150年、県民は130万人から550万人に増え、街並みも大きく変わりました。社会の変化を的確に捉え、常に一歩先を見据えた地域づくりを進めてきたのが、私たちの兵庫県です。

【自立への道】
 今、日本が直面している最大の変化が、人口減少と少子高齢化、そして東京一極集中です。
 出生率は、この10年、上昇傾向にあります。しかし、少子化を食い止める水準とはまだ大きな乖離があります。安心して子どもを産み育てることができる社会づくりを進めなければなりません。
 介護の必要な方や、在宅で介護を行う世帯が増えています。老後の生活不安や貧困も広がっています。2025年には、団塊の世代が75歳以上になります。高齢になっても安心して暮らせる地域づくりを急がねばなりません。元気な高齢者が活躍する場も増やす必要があります。少子化、高齢化への挑戦です。
 また、若者を中心に東京圏への人口集中が続いています。東京一極集中は、過密による弊害や、国土の安全の確保などから問題であるだけでなく、地方を疲弊させ、日本全体の活力を損ないます。
 若者が地方に移住、定住するには、その地方に魅力的な就業の場や思い切って新しい仕事を始められる環境が必要です。
 今、これらの課題解決に向けて、地域創生に取り組んでいます。それぞれの地域が持ち前の強みを活かして主体的に課題に取り組み、自らの手で将来を形作っていく、この「自立への道」を進まなければなりません。

【地域創生を軌道に乗せる】
 地域から日本の未来を切り拓く。今こそ兵庫ならではの自立の道を歩み、地域創生を成し遂げようではありませんか。数々の変化やそれに伴う課題を乗り越えてきた兵庫ならできるはずです。
 本県の地域創生は2年目に入ります。目指すは、人口が減っても、少子高齢化が進んでも、活力を保ち続ける地域を創ることです。
 地域創生に近道はありません。一つひとつの課題にしっかり取り組み、地域創生を軌道に乗せ、兵庫を新たな発展へと導かねばなりません。

(地域創生の本格化)
 新年度の施策の第一の柱は、地域創生の本格化です。地域創生戦略に基づき昨年スタートした取組を前進させます。
 兵庫の未来を担う人づくり、県民の活躍の舞台となる働く場の充実、生涯にわたる暮らしの安心確保、地域に賑わいを生み出す交流の拡大、これらの施策を総合的に展開し、元気な地域を創ります。

(地域創生の基盤づくり)
 第二の柱は、地域創生の基盤づくりです。
 安全こそ、県民の生活と社会経済活動の基です。阪神・淡路大震災から22年が経ち、記憶の風化が懸念されます。震災の経験と教訓を活かし、災害対応力を進化させることは被災地の務めです。ハード・ソフトの両面から防災減災対策を進め、県土の安全性を高めます。
 活力ある地域に不可欠な交流基盤の充実にも取り組みます。

(地域自立の推進)
 第三の柱は、地域自立の推進です。
 県民の要請に的確に応えられる行財政構造を実現するため、行財政構造改革の推進に関する条例を制定し、努力を重ねてきました。収支不足は大幅に改善し、30年度の収支均衡という目標達成が視野に入っています。最終2カ年の改革に取り組んでいきます。
 また、地方が自己決定、自己責任を貫ける体制の確立を目指し、地方分権改革にも根気強く取り組みます。

【県民と共に創る兵庫】
 地域が未来に向けて進んでいくためには、夢が必要です。日本の社会に閉塞感が漂っているとすれば、それは、人口や経済の成長に代わる新たな発展の方向を見出せていないからだと考えます。先の見えない時代だからこそ、これからどのような兵庫を創っていくのかを県民と共に考えなければなりません。
 私たちは、21世紀の幕開けに、目標となる地域の将来像を示す21世紀兵庫長期ビジョンを県民と共に作り上げました。そして「参画と協働」を基本姿勢に、その実現に取り組んできました。これが今の兵庫の原点です。
 折しも来年は、兵庫県発足150年の節目を迎えます。改めてこの原点に立ち返り、多様な地域に住まう県民一人ひとりの夢や願いをもとに、これを見える化し、長期ビジョンの実現に向けた「2030年の展望」を策定します。
 県政は県民と共に創り上げるもの。兵庫の未来を切り拓く新たな一歩を共に踏み出そうではありませんか。

《新年度の重点施策》
 これより新年度の重点施策を説明します。

【地域創生の本格化】
第一の柱は、地域創生の本格化です。

〈次代を担う人づくり〉
 その一は、次代を担う人づくりです。
 (出会いの場の充実)
 未来を担う子ども対策として、結婚から出産、子育てまで切れ目なく支援を行います。
 まず、出会いの場づくりです。本年1月、出会いサポートセンターに希望に合った相手を見つけられる新しい情報システムを導入しました。充実したお見合いブースも活用し、結婚するカップルを増やします。
(子育て支援)
 待機児童の解消に向け、保育施設の定員拡大に取り組みます。
 保育人材を確保するため、修学資金を貸し付け、5年間県内で就業すれば返済を免除します。技能向上を通じた処遇改善のためのキャリアアップ研修も始めます。
 子育ての経済負担軽減として、第2子以降を対象とした保育料の助成を拡充します。
 病児・病後児保育では、勤務中で手が離せない親に代わって送迎を行う医療機関などを支援します。
 放課後児童クラブを増設します。地域三世代家族の育成や、シニア世代によるふるさとの文化の伝承など、地域で子育てを支える取組を進めます。
(学校教育の充実)
 人材育成こそ未来への投資です。
 ウェブ上の学習支援ツールを活用し、基礎学力の定着や一人ひとりの理解度に合った発展学習に取り組む小中学校を増やします。
 生きた英語を学べるよう、小学校で、英語が堪能な地域住民の協力を得て授業を行います。全県立高校への外国語指導助手の配置を継続します。
 運動部活動を活性化するため、専門的な技術指導を行う指導者を学校に派遣します。
 県立高校では、学区の広域化に合わせて学びの選択肢を増やすため、特色化を推進しています。来年4月には、武庫荘総合高校に福祉学科を開設します。今後も工業、農業などの職業学科や、理数、国際などの専門学科の充実を検討していきます。
(キャリア教育の充実)
 子どもたちの社会的自立に必要な能力を伸ばす教育を充実させます。世界で活躍する兵庫ゆかりのクリエーターによる中学校訪問や、県内と海外の工業高校生同士の技術交流を始めます。キャリア形成の視点を盛り込んだ体験教育の指導事例集も作成します。
(県立大学改革)
 理事長と学長を分離した新たな体制のもと、全県にキャンパスを展開する県立大学の魅力向上に取り組みます。
 この春開設する新たな大学院「減災復興政策研究科」では、人と防災未来センターと連携し、被災地ならではの防災減災の専門家を育成します。
 姫路工学キャンパスでは新本館が完成します。7年後のリニューアル完了に向け、順次整備を進めます。
 経済学部と経営学部の再編、環境人間学部のコース再編も具体化します。
 (職業人材の育成)
 社会の要請に応える職業人材の育成に取り組みます。
 森林大学校が4月に宍粟市で開校します。森林に関わる幅広い知識、技術を身につけた専門人材を養成します。
 先端技術に対応できる中小企業の技術者を育成するため、県立の職業能力開発施設に最新鋭の工作機械や3Dプリンタを導入します。
 芸術、観光、食など地域資源を活用する専門人材を育成するため、国が検討を進めている専門職大学の本県での可能性を研究します。
 
〈働く場の充実〉
 その二は、働く場の充実です。
 人口の流出を減らし、流入を増やして定着させなければなりません。そのためには働く場の確保が必要です。
(移住支援)
 移住支援と職業紹介を一体的に実施するため、カムバックひょうご東京センターにハローワークを開設し、首都圏からのUJIターンを呼び込みます。県内の支援拠点として神戸市内にもカムバックセンターを開設し、ワンストップで相談に応じます。
 移住と就職の情報を両方検索できるポータルサイトを整備します。県内企業の魅力や移住者の体験談など幅広く兵庫を発信します。
 (空き家活用の推進)
 移住、定住の受け皿として空き家を活用します。若年世帯や子育て世帯を対象に空き家の改修費助成を充実させます。オールドニュータウンにおける住み替えの促進にも取り組みます。
 (県内就職促進)
 県内すべての大学と就職支援協定を締結します。大学による企業説明会や見学会の開催を支援するとともに、転職を希望する第二新卒者向けの情報提供や窓口の設置を促し、若者と県内企業を結び付けます。
 奨学金を返済する従業員の負担軽減制度をつくり人材確保を図る中小企業を支援します。
 (産業立地の推進)
 働く場を増やすため、県内全域での産業立地を支援します。29年度はさらに本社機能立地の新規雇用要件を緩和します。開発を抑制している市街化調整区域や農業振興地域における立地について、相談を受ける窓口をつくり、柔軟に対応していきます。
(次世代産業の育成)
 経済発展のエンジンとなる新産業の創出も大切です。次世代産業と言われる航空、ロボット、医療機器、水素エネルギーなどの新製品開発やサプライチェーン構築を支援します。
 航空機の部品を壊さずに内部の状態を調べる非破壊検査を中小企業が独自に実施できるよう、全国初の検査員養成所を工業技術センターに設置します。
(県内企業支援)
 3月に産業活性化センターが神戸市産業振興センタービルに移転し、中小企業のワンストップ支援体制が整います。これを機に県と神戸市の中小企業融資制度を一元化します。融資枠は、神戸市独自分を合わせて3,600億円確保します。空き店舗や空き家を活用して行う事業への低利貸付も始めます。
(海外展開支援)
 海外展開する企業を応援するため、現地で支援を行うサポートデスクをフィリピンなど3カ国で増やすとともに、取引先の発掘まで含めた調査活動を支援します。
 成長著しいベトナムのホーチミン市との経済促進会議を立ち上げ、県内企業の進出と取引拡大につなげます。
 安全安心、高品質の県産食材の輸出を促進します。アジア、中東、EUをターゲットに、展示商談会への参加などを通じて、日本食材の販路を開拓します。
(起業支援)
 起業支援では、女性、シニア、移住者が空き家を事務所などに改修して開業する際の支援を拡充します。遊休農地と空き家を一体的に活用した農園や民宿の整備を引き続き支援するとともに、多自然地域におけるIT関連事業所の開設支援も充実させます。
 起業を志す若者向けのワークスペース「起業プラザひょうご」を産業活性化センター移転後のサンパルビルに開設します。
(農業の成長産業化)
 平成の御食国兵庫の実現に向け、農業の成長産業化を進めます。
 都市近郊の地の利を活かし、施設野菜の生産を拡大します。加西に開設した大規模温室のノウハウを応用し、低コストの環境制御システムや空調機器の導入を支援します。
 農業者の初期投資負担を軽減する施設貸与事業は、農業機械のみ導入する場合も支援対象とします。
 県認証食品のブランド力を強化し、流通拡大に結びつけます。有機野菜の生産技術を確立し、生産量を増やします。首都圏でのPRイベントや、コンビニエンスストアとのタイアップによる商品開発にも取り組みます。
 農業の担い手として女性が期待されています。若い女性の就農促進、女性農業者のネットワークづくりなどに取り組みます。
(不耕作農地対策)
 不耕作農地が増えています。農地の貸し手と意欲のある担い手をマッチングする仕組みの強化が必要です。農地中間管理機構による農地集積、集約と併せて、JAのコーディネートによる地域の話し合いと農地利用図の作成を支援します。農業機械の導入や人材確保を支援し、農地の受け手となるJA出資法人や集落営農法人の経営の安定、規模拡大を促します。
 (畜産物の生産拡大)
 畜産物の生産拡大に向けた取組を進めます。繁殖雌牛の増頭を計画的に推進します。但馬牛の魅力発信を強化するため、但馬牧場公園にある但馬牛博物館を改修するとともに、神戸でのPR拠点の整備を検討します。
(県産木材の利用促進)
 大規模木質バイオマス発電所が赤穂と朝来の2カ所で操業し、丹波で3カ所目の建設が進んでいます。燃料となる間伐材などの安定供給のため、作業道の整備や高性能な機械の導入など、搬出の効率化を支援します。
 ひき板を交互に組み合わせた高い強度を持つパネル材、CLTの普及により県産木材の利用を広げます。市街地におけるCLTを使用した中高層建築物としては全国初となる林業会館の整備を支援します。
(水産資源の増殖・適正管理)
 瀬戸内海を豊かな海に再生します。大規模漁場「第2の鹿ノ瀬」の整備を着実に進めます。水産資源の維持に必要な栄養塩類の効果的な供給や偏在解消の手法を検討します。漁業者の操業を支援するため、海域ごとのきめ細かな栄養塩レベルを把握する漁場環境観測システムを整備します。藻場・干潟の再生にも取り組みます。
 日本海では、ズワイガニなどの水産資源の回復に向けた漁場整備を推進します。

〈暮らしの安心確保〉
 その三は、暮らしの安心確保です。
(施設介護の強化)
 介護が家族の重い負担となり、不幸な出来事が起こっています。施設介護の強化と、在宅介護体制の整備が必要です。
 特別養護老人ホームは、計画を前倒しして整備を推進し、待機者の解消を目指します。規模の小さなホームの整備を加速します。
 サービス付き高齢者向け住宅の入居者の7割程度が要介護となっています。特養並みのケアが可能な住宅の整備を支援します。
(在宅介護サービスの充実)
 在宅介護の中核を担う24時間対応の定期巡回・随時対応サービスを県内全域で利用できるようにする必要があります。課題は、都市部における事業者の参入促進と、多自然地域における事業者の確保です。事業者や特養等の施設が参入できる環境をつくるため、障壁となっている人件費負担を軽減します。サービスの利用が広がるよう、ケアマネジャー、利用者双方への普及啓発活動も行います。
(認知症施策の充実)
 認知症対策で大切なのは、予防と早期発見です。予防体操の普及を図るとともに、特定健診に合わせたチェックにより早めの気付きを促します。身近に相談できる医療機関を認知症相談医療機関として登録し、専門の医療機関に早期に引き継ぐ体制を強化します。
 高齢運転者の事故防止に向け、認知機能検査と講習を充実させます。
(健康づくりの推進)
 健康寿命を伸ばすためには、社会全体で健康づくりに取り組むことが大切です。
 働き盛り世代の健康づくりに取り組む企業をチャレンジ企業として登録しています。模範的な取組を表彰し、優良事例の周知を図るとともに、健康づくり講座を開催します。登録企業が実施する女性特有のがん検診への支援を継続します。
 ビッグデータを活用した健康づくりに着手します。特定健診や医療費のデータを組み合わせて解析し、個人の生活習慣の改善に役立てることを目指します。29年度は、データ連携や解析の手法を検討します。
(地域医療の充実)
 地域医療構想に基づき、機能別に必要な病床の確保を目指します。急性期病床などから、不足が見込まれる回復期病床への転換を促すため、施設の増改築や機器整備を支援します。在宅医療を推進するため、地域の病院間で患者情報を共有するネットワークを拡充します。
 医師の地域偏在解消に向け、県養成医師制度により、へき地などに勤務する医師の養成を着実に進めます。
 保健医療計画の改定に向け、二次保健医療圏域のあり方や、医療機関の広域連携方策などを検討します。
(県立病院の整備)
 県立病院では、小児がん患者へ陽子線治療ができる「神戸陽子線センター」をこども病院の隣接地に開設します。
 光風病院を「ひょうごこころの医療センター」と名称を改めるとともに、老年精神科を新設し、幅広い年齢層に精神科医療を提供します。
 柏原病院と柏原赤十字病院、姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院をそれぞれ統合した新病院の整備を進めます。西宮病院と西宮市立中央病院のあり方については、委員会の報告を踏まえて検討を進めます。
(高齢期移行助成事業)
 平均寿命の伸びなどを踏まえ、老人医療費助成事業を廃止します。新たに所得や身体的な理由で自立できない方を対象とした医療費助成を行います。
(障害者の安全安心確保)
 障害者の安全安心の確保として、障害者支援施設に防犯マニュアルを配布します。職員研修を通じて障害特性に応じた支援のスキルアップを図ります。
 視覚障害者の駅ホームからの転落事故が発生しています。白杖を持った人などに対する声かけが不可欠です。本県が先導的に取り組んできたみんなの声かけ運動を強化するとともに、転落防止のための駅ホームドアの整備を支援します。
(障害者の就労支援)
 通勤・通所が困難な障害者の在宅就労を支援します。自宅で業務を受注できる情報システムをつくり、仕事を開拓する支援員を増やします。
 阪神及び姫路特別支援学校には就労先の開拓や就労後の支援を行うコーディネーターを配置します。

〈交流の拡大〉
 その四は、交流の拡大です。
(ツーリズムの振興)
 定住人口が減っても、交流人口を増やすことで、地域の賑わいを生み出すことができます。
 海外からの誘客数倍増を目指し、神戸、姫路城、城崎温泉など知名度の高い観光スポットを結ぶ「ひょうごゴールデンルート」に重点を置いたプロモーションを展開します。モノ消費よりコト消費と言われるように、体験を重視する旅行者のニーズに合った四季折々の周遊プランの開発に取り組みます。
 世界最大の旅行クチコミサイトと連携して兵庫の認知度を高めます。
 無料Wi-Fi環境の整備や多言語案内看板の設置、トイレの洋式化など、外国人の受入環境を整えます。
 有能な人材を観光分野に呼び込むための観光産業のイメージアップにも取り組みます。
(国際交流の推進)
 29年度は、広東省友好提携35周年、西オーストラリア州友好提携35周年、ドイツ・シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州友好提携20周年を迎えます。訪問団を派遣し、友好の絆を深めます。
 昨年相互協力の覚書を交わしたインド・グジャラート州とは防災や経済分野の交流を進めます。
(生涯スポーツの振興)
 アジアで初めて開催される生涯スポーツの祭典、ワールドマスターズゲームズ2021関西の競技種目、開催地が決まりました。県内では、9市町で13種目の競技が行われます。年度内に実行委員会を設立し、4月にニュージーランドのオークランドで開催される大会に視察団を派遣するなど準備を本格化させます。
 9月には、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会が開催されます。大会の成功を目指すとともに、参加者を県内の観光地に呼び込みます。
(六甲山の活性化)
 日本一の都市山、六甲山の魅力を活かして内外から人を呼び込みます。遊休施設の再生利用を神戸市と共に支援します。登山者の休憩や交流の拠点とするため、自然保護センターの機能を強化します。
(淡路島の活性化)
 県立淡路島公園にアニメをテーマとする新たな交流拠点「ニジゲンノモリ」が生まれます。大阪湾を望む丘陵地に広大な花畑が広がる「あわじ花さじき」に展望デッキなどを整備します。世界遺産を目指す鳴門の渦潮と共に淡路島の活性化を進めます。
(芸術・文化の振興)
 県立美術館では「大エルミタージュ美術館展」など、陶芸美術館では「今右衛門の色鍋島」など、歴史博物館では「ひょうごのみほとけ」など、考古博物館では「弥生時代の鐸と武器」などの企画展示を行います。
寄贈を受けた300面を超える貴重な古代中国鏡を展示する考古博物館加西分館が4月14日にオープンします。開館を記念し、4月から企画展を開催します。
 丹波竜が発掘された地層では、新たな化石の発見が期待されます。人と自然の博物館において、化石クリーニングを加速するとともに、住民参加型の発掘調査を行います。恐竜化石を地域活性化に活かすフィールドミュージアム構想も推進します。
〈県政150周年〉
 平成30年7月12日に本県は発足150周年を迎えます。この節目を、これまでの歩みを振り返り、これからの兵庫を考える契機として活かしていきます。
 県政150周年の機運を盛り上げるため、3月にスタートとなるシンポジウムを、7月に1年前シンポジウムを開催します。
 「兵庫県百年史」に続く県史の編纂に着手し、子ども向けには、親しみやすい歴史学習の教材を作成します。
 高校生や県民による地域の未来を考える取組を支援します。
 県庁発祥の地である兵庫運河周辺での記念施設の整備に向けた検討を進めるなど、地域ごとの記念事業を展開します。
 今後の兵庫づくりの基本方向を2030年頃の兵庫の姿として分かり易く示し、県民と共に取り組みます。

【地域創生の基盤づくり】
 第二の柱は、地域創生の基盤づくりです。

〈安全の確保〉
 その一は、安全の確保です。
(地震・津波対策)
 南海トラフ地震による最大クラスの津波に備える必要があります。防潮堤や防潮水門の整備、橋梁や下水道施設の耐震化を進めます。
 避難所となるホテル・旅館や民間住宅の耐震化を支援します。県有施設の耐震化や老朽化対策も計画的に推進します。
(風水害対策)
 風水害が頻発しています。土砂災害で住民に危害が生じるおそれのある区域を特別警戒区域に指定し、住宅の移転、建替えを支援します。
 治山ダムや砂防えん堤の重点整備、災害に強い森づくり、ため池の改修も急ぎます。
 新たな試みとして、利水専用ダムである神戸市の千苅ダムの治水活用に取り組みます。洪水期の7月から9月まで、制限水位を1メートル低下させ、100万立方メートルの空き容量を確保する調査に着手します。
(地域防災力の強化)
 災害時に直ちに必要な行動が取れるよう、訓練は繰り返すことが大切です。来年度も瀬戸内及び淡路島沿岸15市町の津波一斉避難訓練を実施します。警察、消防、自衛隊との合同防災訓練は丹波地域で実施します。
 災害時要援護者対策を強化します。「防災減災推進条例」を定め、避難行動要支援者名簿の事前提供、個別支援計画の作成など地域の主体的な取組を促進します。
(地域安全の確保)
 安全な地域をつくるためには、身近な異変を見逃さず、確実に関係機関に引き継ぐことが大切です。匿名でも通報できる地域安全SOSキャッチ電話相談を通じて事件の未然防止や早期解決を図ります。併せて、近隣住民が日頃から相互で見守りをする関係づくりを支援します。
 法的な対応が必要な児童虐待が増えているため、弁護士と連携し、こども家庭センターの対応力を強化します。児童虐待の早期発見、対応を進めるため、医療機関のネットワークづくりに取り組みます。
 県内の自殺者が19年ぶりに1,000人を下回りました。一方で、悩みを持ち、相談を求める人が増えていることから、24時間電話相談体制を強化します。
 性暴力被害者の多くは誰にも相談できない状況にあります。相談と医療機関への橋渡しを一体的に行う性被害ケアセンター「よりそい」を新設します。

〈交流基盤の整備〉
 その二は、交流基盤の整備です。
(基幹道路ネットワークの整備)
 基幹道路ネットワークは、県土の骨格をなし、地域発展の基盤となるものです。大阪湾岸道路西伸部、神戸西バイパス、中国横断自動車道姫路鳥取線、東播磨道の早期整備、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路の早期事業化、北近畿豊岡自動車道と山陰近畿自動車道は、早期整備と併せ、接続部の調査など、市町、経済界と共に国に働きかけ、整備を推進します。
 さらに、概ね30年後を見据えた基幹道路ネットワークの姿を示す新たな基本計画の策定に着手します。
(港湾の利用促進)
 姫路港に賑わいを取り戻すため、旅客ターミナル一帯の再整備計画を策定します。姫路港と神戸港を結ぶ内航フィーダー航路の開設に向けた取組も進めます。
(関西3空港の最大活用)
 民営化する神戸空港の運営会社が今年決まる予定です。関空、伊丹に神戸を加えた関西3空港の最大活用に向けて、役割分担の見直しが必要です。タイミングを見定めて、経済界と関係府県市に、関西3空港懇談会の再開を働きかけます。
(コミュニティバス支援)
 生活に不可欠な交通手段として地域住民などが運行するコミュニティバスの存在感が高まっています。地域の移動手段を維持していけるよう、立ち上げ経費に加え、車両購入経費への支援を行います。

〈都市基盤の充実〉
 その三は、都市基盤の充実です。
(都市再生の推進)
 三宮駅周辺を兵庫の玄関口にふさわしい魅力的な街に再生しなければなりません。神戸市と連携し、特定都市再生緊急整備地域における整備計画の策定に取り組みます。
 新長田駅南地区では、県・神戸市合同庁舎の整備を進めます。

〈教育環境の充実〉
 その四は、教育環境の充実です。
(県立学校の整備)
 県立学校の耐震化、長寿命化を計画的に進めるとともに、トイレの洋式化や空調設備の導入などの環境改善を進めます。
(就学支援の充実)
 高校生がいる低所得世帯を対象に、学用品費などの負担を軽減する給付金を増額します。
 奨学金の返済が大きな負担となる若者が増えています。高校奨学資金貸与事業では、低所得者の返還を猶予します。
私立高校や幼稚園などに対する経常費助成を充実します。
(いじめや問題行動への対応)
 いじめや問題行動など子どもを取り巻く課題は複雑多様化しています。心のケアに当たるスクールカウンセラーと、福祉面から支援を行うスクールソーシャルワーカーの配置を増やし、学校を支援します。

〈自然との共生〉
 その五は、自然との共生です。
(地球温暖化対策の推進)
 パリ協定に基づく国の新たな温室効果ガス削減目標を踏まえ、本県も新たな地球温暖化対策の計画を策定し、低炭素社会の実現に向けた取組を進めます。
(太陽光発電施設の設置適正化)
 県内各地に大規模な太陽光発電施設が整備され、本県のエネルギー自立に大きく貢献しています。その一方で、景観など地域環境との調和が課題となっています。新たに条例を制定し、設置基準や、住民との調整などの事前手続を定めます。
(再生可能エネルギーの導入促進)
 太陽光以外の再生可能エネルギーについては、小水力発電やバイオマス発電など地域資源を活かして地域活性化を進める取組を応援します。新たに家庭用蓄電池の導入を支援します。
(野生鳥獣害対策)
 野生動物による農林業被害は着実に減少しています。さらに被害を減らすため、29年度もシカ4万5千頭、イノシシ1万5千頭を目標に捕獲を進めます。
 単に捕獲するだけでなく、捕獲したシカの有効活用が大切です。処理加工施設への搬入を助成するとともに、新たな処理加工施設の整備や、移動式解体車の購入を支援します。活用できない個体の容積を減らす施設の整備を支援するなど適正処理も推進します。
 ツキノワグマの出没が増え、住民に不安感を与えています。捕獲と追い払いにより人身事故の防止を図ります。生息数の調査も進めます。
 カワウやアライグマなどの有害鳥獣対策にも取り組みます。
 狩猟者の高齢化が進んでいます。射撃訓練や捕獲技術の研修を行う「狩猟者育成センター(仮称)」の整備に向け検討を始めます。
(ナラ枯れ対策)
 ナラ枯れが拡大しています。里山の景観が損なわれ、森林の防災機能への影響も懸念されます。重点対策区域を指定し、被害を受けた木の駆除など拡大防止作戦を展開します。

【地域自立の推進】
 第三の柱は、地域自立の推進です。

〈地方分権改革の推進〉
 その一は、地方分権改革の推進です。
(地方分権の推進)
 地域創生を実現するためには、地域の多様性を活かした取組を地方の権限、財源、責任で進められるようにしなければなりません。
 国の権限を限定する観点から地方分権が進むよう、提案募集方式の見直しや大括りの権限移譲を粘り強く国に求めていきます。
(関西広域連合の活動展開)
 関西広域連合では、29年度から3年間の取組方向を示す第3期広域計画を策定します。分権型社会の実現に向け、新たな広域行政体制のあり方を検討します。併せて、ワールドマスターズゲームズの開催や大阪万博の誘致などに構成府県市一丸となって取り組みます。

〈行財政構造改革の推進〉
 その二は、行財政構造改革の推進です。
 このたび、条例の期限である平成30年度末までの取組を示す最終2カ年行革プラン案を取りまとめました。
 新たな財政フレームでは、30年度の収支均衡は達成できる見通しです。
 しかし、厳しい財政事情には変わりはありません。
 組織については、現行の本庁5部体制及び地方機関の7県民局3県民センター体制を維持します。
 定員については、一般行政部門で、19年度の職員数から概ね3割削減の目標達成に取り組みます。給与抑制措置は、財政状況等を踏まえ、30年度末までに解消できるようにします。
 事務事業については、限られた財源で最大の効果が得られるよう、県と市町の役割分担、受益と負担の適正化などの視点から更なる見直しを行います。投資事業は、地方財政計画の水準を基本に、緊急性の高い防災減災対策などの事業費を別枠で確保します。
 今回の行革プラン案に掲げた改革を確実に実行し、改革期間が終了する30年度末をもって、構造改革には区切りを付けたいと考えます。
 一方、世界情勢の不透明感から、今後の税収動向は予断を許しません。社会保障関係費の自然増や消費税率引き上げ延期を踏まえた国の財政健全化、それに伴う地方財政対策の動向も注視する必要があります。
 県政推進の土台となる持続可能な行財政の確立に向け、改革の歩みは継続しなければなりません。30年度の早い時期にこれまでの行革の検証を行い、31年度以降の改革のあり方を検討します。

〈県民との情報共有〉
 県政推進の原点である参画と協働をさらに進めるためにも、県民との情報共有は欠かせません。
 テレビ、ラジオ、広報誌、インターネットなど多様な広報媒体を活用し、効果的な広報に取り組みます。
 県の魅力を強力に発信するためには新たな広報戦略が必要です。新たに有識者で構成する委員会を設置し、既存の広報媒体の活用方法の見直し、新しい広報手法を検討します。

《新年度予算の概要》
 これより新年度予算の概要を説明します。
 国の一般財源総額の抑制方針に加え、社会保障関係費の自然増が見込まれ、引き続き厳しい財政運営を余儀なくされます。
 歳入では、企業業績を反映した法人関係税が増となる一方、地方消費税の減などに伴い、県税全体で前年度を141億円下回る見込です。また、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は、基準財政需要額の減が基準財政収入額の減を上回るため、前年度を86億円下回る見込みです。
 なお、教職員給与負担事務の神戸市への移譲により、歳入歳出とも366億円の減となりますが、本県財政への影響はありません。
 歳出では、行政経費については、社会保障関係費の増に加え、地域創生を本格化させるための交付金事業の増を見込んでいます。投資的経費については、地方財政計画を踏まえた投資水準を基本に、交付税措置のある県債を活用して財源を確保しつつ、地震・津波対策や山地防災・土砂災害対策、公共施設の長寿命化対策などに必要な事業費を別枠で確保します。
 歳入歳出の収支不足額は170億円となり、前年度から150億円改善します。財政フレームの範囲内で退職手当債や行革推進債を発行し、収支不足に対応します。

 以上の方針のもとに編成した新年度の歳入歳出予算は、
 一般会計      1兆9,038億2,100万円
 特別会計      1兆 952億円余
 公営企業会計 歳入   1,866億8,100万円余
    同      歳出   2,070億9,000万円余 となります。

《条例その他案件》
 条例については、太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例の制定や、兵庫県税条例の一部を改正する条例など13件です。
 その他案件については、第3次行財政構造改革推進方策の変更、公の施設の指定管理者の指定など14件です。

《結び》
 詩人、高村光太郎はその詩「道程」の中で「僕の前に道はない僕の後ろに道は出来る」と語っています。
 私たちの課題は、多くの県民が共有できる兵庫づくりの方向を県民の参画と協働のもとに明確にすることです。自ら目標を設定し、自ら実現を目指す。誰かがつけた道を辿るのではなく、道そのものを切り拓くのです。
 兵庫はこれまでも、激しい変化の荒波と、数々の困難な課題を、知恵と努力で乗り越えてきました。今こそ兵庫発の、私たちにしかできない地域創生を成し遂げようではありませんか。

 以上で、新年度の県政推進方針と提出議案の説明を終わります。議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切な議決をいただきますようお願い申しあげます。